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妖精の尻尾の食堂は、メニューが豊富で味も良いと評判だ。看板娘のミラジェーン目当ての客も少なくないが、
彼女の料理の腕は確からしい。
フロッシュとレクターに3時のおやつを注文してやると、2匹とも美味そうにめいめいのを食べた。
注文した自分の分のコーヒーをすすっていると後ろからローグに声をかけてくるものがいる。
振り向かなくとも匂いでわかった。
「よう!仕事の帰りか?」
ナツが肩にハッピーを乗せて立っていた。
「ああ。あれがこちらのマスターに用があると言ってな。まあ、どうせお前目当てだろうが…とりあえず
先に仕事を片付けさせているところだ」
マカロフと話しているスティングを目線で示すとナツも一緒にそちらを向く。
「あー、そういえばマスターになったんだっけか…かかってこねえと思ったらそういうことな」
「ああ。」
「あれ?ローグ!!久しぶり〜!」
ナツの後ろから歩いてきた金髪の少女がこちらに声をかけた。
まともに顔を合わせて話したのは数回もないと記憶している彼女が久しぶり、と愛想良く声をかけてくる。
全くこのギルドは良くも悪くもオープンなものだと少し笑う。
「どうしたの?あ、またナツとケンカ?」
「スティングの方がな。だが先に仕事を片付けている。」
「そっかー。あいつそういえばマスターになったのね。意外とちゃんとやれるタイプなんだ」
「根は真面目なんでな」
先ほどと同じやりとりを繰り返しているとハッピーがじっとこっち…いや、その隣のエクシードたちを見ている。
どうやら皿に盛ったそれぞれのおやつが気になるらしい。
「ハッピーは何が好きなんだ、」
青毛の可愛らしい猫に声をかけると、魚!!と一呼吸も置かないうちに返事が返ってくる。
「そうか。猫らしいな」
やはり自分たちのエクシードと同じく、特に好きな食べ物があるらしい。
「今の季節はタラだな。鍋に入れると美味い。身は崩れやすいが…」
「オイラは生の方が好きだよ!!」
魚の話に食いついたハッピーは羽を広げるとカウンターの上にちょこんと乗った。
レクター以外のエクシードが珍しいのか、フロッシュが興味津々で身を乗り出している。
「生、か…刺身か?」
「そのままが一番だよ!」
「そのまま?…獲ったままか?捌かないのか?」
「頭からこう、パクっと」
ハッピーと魚の食べ方について議論を戦わせていると、急にクスクスという笑い声が聞こえてきた。
見ると、目の前でルーシィが肩を震わせている。
「何だ?」
「いや、あんたも以外なところがあるんだなって。ハッピーと真面目に魚の話してる人、初めて見た」
「はあ」
「ナツさーーーん!!!」
スティングの声がしたと思うと、ナツの方へ猛スピードで金髪が迫ってくる。
「ナツさん!勝負して!」
満面の笑みを浮かべたスティングがナツの腕をひっとらえる。
「おー!いいぜ!タイマン勝負だ!!」
ナツがその誘いに乗っかる横でルーシィがやれやれといった顔をしている。

「グレイ様!今日のためにジュビアは半年前から一生懸命準備しました!」
「怖ええよ!」
「さあ、ジュビアがグレイ様のために愛を込めて作ったチョコレート、召し上がってください!」
ナツの斜め後ろ付近のテーブルでルーファスを負かした氷の魔道士と、ジュビア・ロクサーが会話をしている。
ジュビアの方は、小さいころガジルに会うために幽鬼の支配者へ行った時に何度か見かけた。
少し話したこともある。あの頃はもっと違った雰囲気だったと記憶しているが、今はさっぱりとしている上に
なんだか少し吹っ切れた雰囲気だ。
子供のようにはしゃいでいたスティングが、ジュビアの声を聞いて一瞬黙った。そしてちらりと横目で見る。
視線の先には可愛らしくラッピングされたチョコレートらしきものを開けているグレイの姿があった。
「はぁ…」
ローグはため息をついた。

「日が暮れるまでには帰って来い。早く寝てそのクマを取らないとせっかくの男前が台無しだろう」
「お、ろ、ローグが俺のことを男前って…!」
「冗談だ、馬鹿。周りに心配をかけるだろう、特にレクターにな。わかったか、スティング」
「…はーい。」
「お前、しつけられてんな…」
…ナツに少し引かれてしまった。
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