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□twitterまとめ
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twitterにあげていたものまとめ。
アンケートの結果をもとに作成しました。

Q1料理ができそうなのは?…両方(スティング、ローグともに)できる

Q2もし兄弟だったとしたどっちがお兄ちゃん?…スティング








スティング編



ローグが風邪を引いた。

昔からそんなに体は強くなかったが、ここ最近は全然風邪なんか引いてなかったのに。
スティングは執務室の壁に掛けられた時計の針をにらみながらペン先でコンコンと机を叩いた。
指名の仕事が立て続けに入った上にマスターの仕事である分も増えて、ローグは寝る時間を削って働いていた。勿論、スティングもだ。昨日で一応忙しさの峠は越えたのだが、かといって全てを放っておいて休めるほどではなくスティングは朝から退屈な書類仕事に追われていた。
ローグの体調不良を聞いたのは、昼前にフロッシュが1人でギルドにやってきた時だ。不安そうな顔をしたフロッシュはローグは頭が痛いの、と言ってしょんぼりした様子だった。
大方感染すまいとフロッシュを遠ざけたのだろう。1人でギルドに来たフロッシュを抱いてしばらくあやしたあと、ローグの家に行こうとして思いとどまった。
看病に行ってやりたいが、おそらく仕事を放り出して行けばローグはいい顔をしない。風邪の時ぐらい甘えればいいものを、他のことを放り出して自分に構おうとするスティングに素直にありがとうと言えないローグの性格をよく知っている。
どうすべきか迷っていると、ルーファスがすっと現れて様子を見てくると言ったので不本意だが任せることにした。
奴なら器用だし、物静かなのでローグも大人しく看病されるだろう、そう思うとスティングの胸の端がちりっとした。
決して自分が駄目なわけではないことはわかっている。自惚れではなく、長年の経験で。ローグが本当に嫌がっているわけでないと知っていても、せめてもう少し素直になってくれたらいいのに。
スティングは密かにそう思っていた。

やっぱり仕事は手につかなかった。
こんなことをしていても一向に片付くはずはなく、やはり見舞いに行こうと立ち上がった時にルーファスが執務室に入ってきた。
「おい、お前ローグは」
「ああ…熱があまりにも高いから病院に連れて行ったのだが…インフルエンザだそうだ」
「まじかよ…」
「もう流行ってきているからね。仕事で忙しかったから免疫力が低下していたんだろう。今は家に帰って寝かせているが…君に知らせておかないとと思って」
「ああ、ありがとう」
「全く…私では看病もさせてくれないよ。感染るから帰れと言われてしまった」
「お前が?」
「ああ…買い出しも断られてしまって」
ルーファスはやれやれと肩をすくめた。
「熱は?」
「さっき測ったときは39度だった。」
「39度!?」
体温の低いローグにしてみたら死にそうなレベルだ。相当酷いのだろう。
「おいおい…」
「咳はしていないが、とにかく関節が痛いと言っていた。あと頭痛がすると…」
「薬は?」
「飲ませたよ。鎮痛剤とあと、吸引型の薬をもらってきたからそれも。食欲がないみたいだ…一応何か胃に入れないといけないんだが」
39度の熱では料理はおろか、ベッドから起き上がるのもきついだろう。
「そうか…なあルーファス、仕事を…」
「そこにある分でいいのかい?サインが必要なもの意外なら片付けておくよ」
ルーファスが嫌な顔ひとつしないで執務室の机の書類を手にとったのでスティングが申し訳ない気持ちになって振り向いた。
「悪いな」
「いいや、個人ができることをした方がいい。看病は君にしかできないだろうからね。私はこちらを片付けるよ」

ルーファスの顔つきからローグの体調がだいぶ悪いことを悟り、焦る気持ちを抑えつつ彼の家へ行く道中に買い出しをすませる。何か胃に優しいものを作ってやらないと。
米がいつも備蓄されていることは知っているので、卵とフルーツ、それにゼリーなどを買った。







ローグの部屋の扉には鍵がかかっていなかった。おそらくルーファスが出て行ってからそのままなのだろう。
狭いアパートの部屋の奥へ行くとローグは案の定布団に丸まってよく寝ていた。
額に冷却シートが貼られている。ベッドの横の机には薬の入った紙袋があった。

もうそろそろ夕飯時である。スティングはローグの布団を掛け直してやると買ってきたものを冷蔵庫に詰めて台所に立った。
喉を通りやすいであろうたまご粥を柔らかく作り、調理具を洗っているとごそごそと衣摺れの音が聞こえた。
「スティング…?」
「大丈夫か?」
ベッドに横たわったままのローグは火照った顔で視線が定まらずぼーっとしている。髪は乱れていて目は熱のために潤んでいた。些か扇情的な姿に見入りそうになる自分を叱咤してベッドの横に膝をつく。
「熱もっかい測るか」
枕元に置かれていた体温計を差し出して、乾いた冷却シートを額から剥がした。
「スティング…しごとは」
新しい冷却シートを出しているとローグが掠れた声で、しかし少し責めるような口調で言った。
「ルーファスがやってる」
「…」
返事はないけれど確実に訴えるような表情をしたので、言いたいことを全て察して溜息をついた。
「…ルーファスが看病させてくれないって言ってたぞ。インフルの時くらい大人しくしてろ」
「…でも」
「いいから、」
ちょっとヒヤッとするぞ、と言おうと思ったがローグが素直でないのを見るとスティングは無言で冷却シートを額に貼り付けた。ビクッとローグが震える。
「…スティング、お前にまでうつしたら」
よくないから、と言わせる前にスティングはローグの唇を塞いだ。
熱い吐息を感じて、やはりローグの熱は高いのだと実感する。
「…っばか、お前っ感染るだろう…!」
「ナントカは風邪ひかないからいいんだよ。俺は聖属性の魔導士だしな、異物は常に排除」
「そんな…」
ローグが反論しようとするとピピ、とラクリマ式体温計が音をたてた。
「何度?」
「39度2分…」
「上がってんじゃねえか。ほら、ちょっと辛いかもしんないけど起きてお粥食えよ。薬飲まなきゃいけないからさ」
ローグが体を起こすのを手伝ってやると、背中にそこらへんに転がっていたクッションをあてがってやりベッドの背に凭れかかるようにさせた。
触れたローグの体は熱くて、また下心がむくりと頭をもたげそうになるのを叱る。風邪をひいているのだからと言い聞かせても、俺はこんな時でも男だった。

「食欲ないだろうけど、…あ、ゼリーも買ったんだった。ゼリーの方がいいか?」
さっぱりしたものの方がいいだろうと言うと、ローグは首を横に振った。
「お粥作ってくれたんだろう」
食べたい、と言ってくれるので少し擽ったい気持ちになって、小さな土鍋に作った粥をベッドサイドに運んだ。
取り皿にとってれんげで掬うとローグが両手を伸ばしてくる。
「自分で食べる…」
「ふーふーしてやるよ」
「…おまえ…」
睨まれたが、照れ隠しだと思って気づかないふりをした。
れんげに取った粥をふう、と冷ましてローグの口元に持って行ってやると、彼はおずおずと口を開いた。
「あーん」
というとまた睨まれたが、これも気づかないふりをした。
「…おいしい…」
「そりゃあよかった。」
こうして冷ましたのを口元に持って行き、睨まれ、を繰り返してローグは取り分けた分をすべて食べた。
土鍋には半分以上残っているが、まあまあ食べたほうだろう。
「りんごあるぞ。」
「…食べる。」
「よっしゃ」
ローグが薬を水で流しこんでいる横で、りんごの皮をむく。
薬を飲み終わったローグはぼーっとスティングの手元を見ていた。
「うさぎさんにしてやろうか」
「…皮がかたいからいやだ」
「…へいへい」
ぼーっとしているローグはまるで子供のようで、可愛いかった。
「ほら、」
むけたりんごのかけらを口元に持って行ってやる前に顔を寄せ口付けると怒られた。
りんごをしゃりしゃりと咀嚼するローグの顔が赤いのは熱のせいだけではない気がした。



※かっこいいスティングが好きな人は撤収してください!


ローグ編



台所に立って料理をしていると、スティングが急にキッチンへやってきた。
何かと思えば何もせずただローグの後ろに立っている。
冷蔵庫から必要なものを出したり、コンロの前で鍋の様子を見たり、キッチンを行き来するローグにとってスティングは障害物だ。邪魔だと言おうと後ろを振り返ったローグはスティングの顔を見て眉を寄せた。
いつになく真剣な顔をしたスティングが腕を組んでローグを見つめていた。
「なんだ」
「…うーん」
黒いエプロンの裾で手を拭くローグを頭のてっぺんから足のつま先までジロジロと見つめている。
「…」
「なんだ?」
再度問うと、スティングは至って真剣な表情で切り出した。
「…いや、お前の料理してる後ろ姿ってイイなぁって思ってさ」
「は?」
「お嬢とかユキノが料理してるのも見たことあるけどさ、やっぱお前が料理してる後ろ姿が好き」
「…そんなことか。だったら邪魔だからあっち行ってろ」
「ええ!いいじゃん新婚ごっこしようぜ」
「するか馬鹿とっとと失せろ」
スティングの尻を蹴って台所から追い出すと再び調理にとりかかった。


「…うーん、やっぱそそられるよなあ。別にエロい格好してるわけじゃないになんでだろうな?」
スティングは懲りずにローグの邪魔にならない微妙な位置に戻ってきて何かブツブツ言っている。
「貞淑な感じがいいんだよなー、新妻感?…でも家事は慣れてるしな。あーやっぱいいわ料理してる後ろ姿」
ローグに語りかけるわけでもなくただ独り言を言っているだけなのだが、ばっちり聞こえているので鬱陶しい。
「別に後ろ姿フェチなわけじゃないんだよ。…料理してる時の、このさあ!なんつったらいいんだろう動作?仕草?」
「うるさいぞ」
そう言ってギロリと睨みつければスティングがなぜか急に寄ってきて後ろから抱きすくめられた。
「おい、」
「いい匂い」
「離せ」
「幸せを感じる」
「消えろ」
スティングはローグをしっかりとホールドしたまま首筋に顔を埋めた。
「あーいい匂い」
「おい」
ローグは体を捩ってできた隙にスティングの腹にひじ鉄を食らわせると呻いているスティングを蹴って台所から追い出し、また調理にとりかかった。


「髪上げてるからなー、やっぱうなじかな?あと腕まくってるのもいいよなあ。あと腰、エプロンがいい、腰」
懲りないスティングは先ほどより少し遠い位置に戻ってきてでかい独り言を言っている。
「スリッパがいい。家庭的な感じで。ああそうか!家庭的なオーラ!この背中から溢れ出る家庭的な何か?いい!もう嫁さんって感じでいい、俺の嫁さん!」
さすがに腹が立ったので、ローグは炒め上げたチャーハンを皿に盛ると、熱々なままのフライパンを掲げてスティングに突進した。
「ああごめん!ごめんってあちちちち、熱っちぃよ!悪かったからフライパン押しつけんな熱っつ!」
「お前はもう夕食抜きだ!!」

fin.
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