allucciolio

□2008.12.30.
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「え…、恭弥さ…」

「……?」

「っと…ヒバリさん、お久しぶりです」

「……あぁ、沢田綱吉かい」


一瞬、誰だろうって思ってしまった

中学時代の後輩

ボンゴレファミリー10代目ボス

僕が、唯一仕えてる人間

まぁ、仕えてるとは言っても仕える気はない

ただ、そうなってしまっただけ

ただの中学の、後輩

じゃぁ、なんで僕はここにいる?


「ちゃんと戻れたみたいだね」

「はい!本当に、ありがとうございます…作戦のことも、ちゃんと…」

「…あぁ、そんなこともあったね」


どうして、そんな作戦に乗ったのか覚えてない、けど…

覚えて、ない?

そうだ、覚えてない

僕は、何も覚えてない

何故、あんな作戦にのったのか

何故、ボンゴレに入ったのか

何故、今僕は、ここに…

沢田綱吉のいる寝室に来ているのか…―――


「スミマセン…まだ自分の力で歩けなくて…」

「いいよ、無理したって悪化するだけでしょ」

「あはは、そうですね…すみません」

「―――何で…謝るの」

「え?」

「っ…」


何だ、今の

謝ったって、良いだろうに

むしろ、謝ってもらった方がいいに決まってる

迷惑かけられたんだし…


「…君が、謝るのを聞くのが…なんか嫌だ」

「え…」

「何でなのか、知らないけど…」


だいたい、なんでここに居るんだろう

勝手に、足が向いたんだ

まるで、通いなれてるみたいに…

僕が、忘れてることって……


「…あの、ヒバリさん」

「ん?」

「もし、よかったらですけど…少しだけ、お時間いただけますか?」

「…君、まだ本調子じゃないって聞いたんだけど?」

「それでも、少しだけ…本当に、少しだけでいいんです」


―――まだ、希望があるのなら

自分の未熟さゆえに、起きてしまったこの現状

恭弥さんに、辛い思いをさせてるのは、俺なんだ


俯いてしまった沢田綱吉に息を吐いて、近づいていく

ベッドの横に置いてある一人掛けの椅子に腰を落ち着かせた


「ヒバリさ…」

「現状を把握できるまで、暇だからね…少しだけって言うなら付き合ってあげるよ」

「あ、りがとう、ございます!!」


この会話が、、どんな意味をなすのかは知らない

ただ、沢田綱吉の笑顔を久しぶりに見た気がして

なんだか、無性に心が安らいだ





 
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