素晴らしき頂き物v

□泡沫淡夢
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「ぐーれーん」

「何だ。気持ち悪い」

子供のように自分を呼ぶ声に、紅蓮は肩越しに背後を見遣った。

歩みを止めて自身を振り返った紅蓮に、安部晴明は満足そうに笑んだ。

「何処に行くんだ?私を撒こうとしただろう」

「……何処に行こうが俺の勝手だ」

歩みを進めようとする紅蓮の腕を、晴明はがしっと掴む。

人とは思えぬ程に強い力だ。

更に眉を寄せ、紅蓮は晴明を見下ろした。

「そう言うな。私と紅蓮の仲だろう」

「どんな仲だ」

口端をつり上げて楽しそうに笑う晴明に、紅蓮は小さく唸った。

こうなれば、意地でもついてくる。
安部晴明とは、そういう青年だ。

諦め混じりのため息をつき、紅蓮はそのまま足を進めた。

おや、と晴明は意外そうに一度瞬きをした。

てっきり腕は振り払われると思ったのに、自分の腕は紅蓮の腕に絡まったままだ。

「……まぁ、いいか…」

嬉しいし。

胸中で呟いて、晴明は頬を緩ませた。








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