素晴らしき頂き物v

□ある日の真相
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手際よくそのテーブルに並べられた料理の数々は


「それでも食ってろ」

 見事に彩られた食卓に「おおっ!」と奇声をあげる騰蛇を放り込んでおいて青龍は再びレポートと向き合う。
 余計な時間を費やしてしまったと、痛みそうになる頭を押さえて再びペンを走らせ始めた。


「青龍―この煮物上手いぞー。あ、こっちの卵焼き甘くて好きだな。サラダのドレッシング、ゴマのほうが合うと思うぞ。あー!このキンピラ、グリーンピースはいってるじゃん。俺苦手・・・」

 青龍の手が止まる。かすかに肩が揺れて、勢い良く後ろを振り返った。

「どうるさい!!黙って食べろ!」

「えー、つまらないだろう」

「邪魔だ!食ったら即刻帰れ!」

「――むぅ・・・」

 ようやく大人しくなった騰蛇に青龍は再び机にむかう。
 しかし、しばらくして再びソレは途切れた。
 のしっと騰蛇が青龍を後ろから再び抱きしめたのだ。

「食ったら帰れといっただろう」

「まだ食い終わってない」

「ならさっさと食って来い」

「喰っていいんだな?」

「ああ」

 レポートに心寄せる青龍は生暖かい感触が首筋を這ったことで、意識を一気に鞍替えした。振り向こうとしながら騰蛇を牽制しようとする。

「お前っ!」

「喰っていいといっただろう?デザートはお前だ」

「ふざけるなっ!…デザートが食べたいなら・・どけっ!!」

 懇親の力で青龍は騰蛇を弾き飛ばすと素早く台所へ向かう。騰蛇はそれを追いかけようとしたところで青龍がもう戻ってきた。
 どんっと手にしたものをすっかり殻になってしまった食器の散乱するテーブルへと置く。

「デザートだ。存分に喰え」

 騰蛇にはにやり、と青龍が笑った気がした。
 同時にその大きさに血の気が引く。

特性巨大ボールに詰め込まれた 、この色は"味の入り混じった(だろう)、フルーチェ"

「ま、・・」

「ああ、残したらしばらくウチには来るな。いいな。食べ物を粗末にするやつはキライだからな」

 ひゅるり〜〜〜〜と雪の日の隙間風が吹いたような気がして、騰蛇は伸ばした手をそのままに固まる。

「ついでに、六合や晴明はちゃんと食べてくれるから、よほどお前より作り甲斐があるとみなすからな」

 心臓にくいをうたれて、その上でダンスでも踊られ、抉られるような痛みが騰蛇を襲う。


伸ばされた手は今宵、青龍に二度と触れることはなく。
朝にはレポートが何とか完成してほっとする青龍と、フルーチェを何とか間食した騰蛇が悪夢にうなされながらひっくり返っている光景が見られたのだった・・。
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