素晴らしき頂き物v
□閑話
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閑話。
音が鳴った気がして携帯を取り出す。開いてみたら受信中で、鳴る前だった。
おかしい。いつもなら、メールなんて気が付かないのに。
「・・・・・・」
ジッと画面を見据え受信し終わるのを待つ。フォルダに入ったところで開いて見ると、差出人は紅蓮だった。
何となくそれに気恥ずかしくなる。誰もいないのに舌打ちし、本文を見た。
『助けてくれ!』
「・・・・・・・・・・・・?」
短い本文に首を捻る。主語がない文というのは判断しにくい。
今日の講義は何だったか、と思い返してみて、それら全てに確か紅蓮は出ていたはずだと思う。昼に会ったときにはヘロヘロに疲れていて「いつも真面目に出ないからだ」と言った気がする。
紅蓮の全部の受講を把握しているわけではないので確かなことは言えないが、今日何か助けなければいけないようなことは何もなかったはずだ。
それじゃあ、講義以外の何かで『助けてくれ!』なのだろう。
「・・・・何だか、面倒くさいことのような気がするな・・・・」
直感めいたものが頭をよぎった。正直、行かない方がいいかもしれない。でもこう言われたら、行かないわけにはいかない。
パチン、と携帯を閉じて鞄に放り込む。時計台を見上げて時間を確認した。今は午後六時半を少し過ぎた頃。
夕飯にかぶるな、と思って、何か買っていくかと行く道筋にある店を思い浮かべながら青龍は、鞄を肩に掛けて大学を後にした。