素晴らしき頂き物v

□届かなくても
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「せーめーっ!!!!」

いつものように響き渡った怒号に、六合は知らず知らずにため息をついた。

「なんだ宵藍」

「なんだ、じゃない!むやみやたらに離魂の術を使うな!」

押し倒されている事はいいのか。

一度視線をやると白虎は優しげに目を細めた。

「教育上太陰達には悪影響だからな。昼間から押し倒すな、と晴明に釘を打っておいたんだが……」

白虎の視線の先には正座で翁から説教を喰らっている晴明。

「そう言えば先程、昌浩が玄武の目の前で騰蛇を押し倒していたような…」

顎に手を添え思い出すような勾陣の呟きに、白虎は軽く頭を抱えたい衝動に駆られた。

深々と息を吐くと、白虎は翁を振り返る。

「翁、俺は昌浩の所に行って来る。」

「私も行こう」

つまらないぞと、目で告げる白虎に笑みを返し、勾陣は立ち上がる。

「構わないさ、一緒の時間が増えるのだからな。それにお前だけではあのバカップルは手に負えないだろう?」

「そうか…」

優しげに笑うと、勾陣の頭を一撫でし白虎は姿を消す。
続いて勾陣も


そんな二人を呆然と見ていた朱雀は小さく呟く。

「あの二人熱いな……」

まぁ俺と天貴には敵わないがな。

呑気に朱雀が考えている頃、青龍と六合は屋根上にいた。

「ったく、あの老いぼれ……!!!」

はぁ、と六合は静かに息を吐く。

先程から彼の口から出てくるのは主の事ばかり。


ーーー俺の想いに、お前が気づく事はないのだろうなーーー

けれど、それでも良いと思う。

気づいてしまえば、苦しむだろうから

それならばこのまま好きな主の元で笑っていて欲しい。

「六合?」

ずっと黙り込んでいる六合を不審に思ったのか、青龍は彼の顔を覗き込む。
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