素晴らしき頂き物v

□ある昼下がり
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パチン、と碁石を置く音のみが響く中、晴明は部屋の一角であぐらをかいている青龍を見ていた。

晴明だけではなく、部屋にいる者全てが青龍を見ている。

普段ならば、あの凍るような眼差しで睨まれるのだが、今はその心配はない。

なぜなら………

「珍しいな…青龍が眠るなど」

そう、眠っているのだ。
その証拠に瞳は閉じられ、起きていれば決して消える事のない眉間の皺が消えている。

「つーか、俺達神将は寝る必要ないだろ」

「お前は寝ているだろうが物の怪。」

「物の怪言うな!」

ガオッと吠えた瞬間、幾つもの足が物の怪を襲う。

「〜〜〜〜っ!?」

「吠えないでください。青龍が起きたらどうするんですか」

さらりと言い放つ同胞太裳に、踏まれた尻尾を抱えつつ物の怪は吠える。

「だからって踏むなっしかも勾、筆架叉は止めろ筆架叉は、本気で危ないから!」

「吠えるなと、言っているだろ……?」

周りを見渡せば、勾陣だけではなく、六合に太裳…はたまた離魂の術を発動した晴明までが、黒いものを見せながら各々の武器を物の怪に向けていた。

このままでは確実に殺られる、そう判断した物の怪は微かに目を開けている同胞の方に走り出す。

「…騰蛇……?」

己の後ろに隠れた同胞を抱き上げ、青龍は周りを見渡す。

「青龍ー、アイツらいじめてくるっ」

あのー、騰蛇さん?キャラ違いますよー…?

まぁそんなのはお構いなしで、物の怪は瞳一杯に涙を溜めており。

よしよしと物の怪を撫でつつ青龍は目を細める。

「…晴明、元の体に戻れ。それと勾陣、六合、太裳。お前達も武器を戻せ」

寝起きだからか、微妙に呂律が回っていない。

「青龍、呂律が回っていないぞ?」

「黙れ」

睨んでくる青龍に笑みを返し、晴明は目線を合わせる。

そして口付けた。

「Σな、ななな…っ//」

真っ赤になり絶句する青龍。
それと同時に非難の声があがる。

「「晴明!!!」」

非難の声を無視し、晴明は満足そうに笑う。

「口付けぐらいでみっともないな」

「〜〜っ//一度死んでこい、このド変態!!!!!!」

怒号と共に青龍が姿を消すと同時に、晴明の絶叫が轟いたのは言うまでもない。



「あの変態……!」

「大変だったな」

苦笑しつつ、白虎は落ち着かせるように青龍の髪を撫でる。

沈黙がその場を支配し、静かな…けれども心地よい空気が流れる。
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