素晴らしき頂き物v

□会いたい思い
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清々しい風の吹く朝、紅蓮は物の化の姿のまま一人すねたように屋根の上に居た。

今、紅蓮は恋人との約束のために予定をあけた。

昌浩の護衛を六合に頼み、今日は一日久しぶりの二人きりだと思っていた。

なのに、約束の時間が過ぎても待ち人は来ない。

紅蓮は溜め息を吐いて屋根を降り、晴明の所に行った。

晴明の部屋につくと、晴明は紅蓮が来る事を知っていたのか、紅蓮に申し訳なさそうな顔を向ける。

紅蓮はそれで全てを察し、

「何か事件か?」

「ああ、すぐに文を送り、現場を見てきてもらわなくてはならんくてな」


「すまないのぅ、紅蓮」と言って晴明は紅蓮の頭を撫でる。


いつもこうだ。


紅蓮はそう思っていた。

最近全然会えない理由。

それは今日の様な時や、太陰が何かをやらかしたりして説教しなければならない時。

いつも会えると思った時に限って何かがある。


「白虎からの言伝があるのじゃが」

「何だ?」

「二日後。今日と同じ場所で会おう。と」

「そうか、悪いな晴明」


紅蓮はそのまま晴明の部屋を出た。

そして昌浩の部屋へ戻ると、昌浩は驚いた顔をして、

「もっくん。もう用事終わったの?」

「ん?ああ。ありがとな、六合」


昌浩に返事をした後、六合に軽く礼を言う。

紅蓮は昌浩が散らかしている本をひとつひとつ片付ける始める。


「もっくん。それ返して来て」

「はあ?そんな事ぐらい自分でしろ」


紅蓮は片付けた本や巻物を見る。

昌浩は本に目を向けながら


「暇でしょ。もっくん」

「・・・・・・わかったよ」


諦めた紅蓮は、何冊な本を持ってトテトテと歩き出す。


「何もしないよりは何かしてた方が気が紛れるかな」








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