二人で愛しあっている時に、すき、あいしてる、ってあのやさしい甘い声に耳元
でささやかれるのに、俺は、情けないほど弱い。
そうされればすぐに、どこか遠くへいけてしまうんだ。きっとそれは、精神的な
エクスタシイ。

俺に、おまえに、この上ない満足感を与えるもの。






だけれども、不思議。
こんなにもどうしようもないほど、焦がれている俺たち。
(俺の愛の大きさは、アナタが自信過剰だと思うくらいだと言われたことがある)


それなのに、どうあがいたってわめいたって、男女のようにはいかないのだ。







「孕んだら大変だからね」







俺たちまだ高校生だもん。
責任がとれないよ。









冗談めかして言う彼は、いつだってとても悲しかった。
(だって俺は孕まないのに、)

俺のからだと未来を気遣って、そうしているくせに。
(だって俺は孕めないもの、)

現実を忘れたくてしている行為じゃないから、その方がいいのは分かってる。
(…でもやっぱり悲しいね。)












今日もゴミ箱に捨てられる、ティッシューに包まれた、俺たちの愛のあかし。
さらに上からゴミを捨てて、その存在がわからなくなって初めて、俺は安心でき
る。







「なんか、暑いな」
「え、もうすぐ冬だよ?」
「じゃあ、寒い。暖めろ」







そうしたらまた、彼のやさしい甘い声を耳元で聞く勇気が持てる。




しょうがないひとだね、と言ってやさしく笑うおまえのことを、今日のように、
明日もその先も変わらずにいとしく思えているのなら、他にはなにも望まない。







(だから、本当にただ、いつまでもすきでいてくれたらいいだけだから、)








END

このような素敵な企画を主催してくださったカナコさまに感謝の気持ちをこめて




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