短編

□繰り返す駆け引き
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グループトーク・樹季・河内・後藤の会話





樹季:大変です後g藤君河内君

河内:どうした

樹季:河内君の反応が早くてびっくりした

河内:ころすぞ

大吉:不良に絡まれたとかそういうんじゃないよな?

樹季:絡まれてたら連絡しないしできないsまってせんぱいに話しかけられたちょっと抜けます

河内:桶川さん居るのか

大吉:桶川さん居る時にあんま携帯いじるなよ〜すねるぞ桶川さん

河内:くだんね

大吉:あと河内もすねるから

河内:おい
河内:勝手な事言ってんじゃねえ
河内:つーか連絡しないしできないってなんだよ しろ

大吉:河内が心配するからしてやって

河内:おい

大吉:ていうか今九時だよな、俺の携帯の時間合ってるよな?桶川さん白木んち行ってんの?

大吉:夕飯のあと見かけないと思った

河内:ど
河内:どうでもいい

大吉:河内大丈夫?

河内:何がだようるせえな
河内:さっきから通知鬱陶しいんだよ どうでもいい話だったらラインすんな


樹季:うわあああぁあああぁああぁ!sんぱいから、アイスもらったどうしようーーーーー!

河内:言った傍からうるせえ 文字がうるせえ

樹季:かっぷあいす!スプーン!これ食べていいの!?

大吉:貰ったなら食べれば?

樹季:………せんぱいの食べかけnあんだけど
樹季:たべていい?罰あたらない?

河内:くだんねえことでラインすんなつってんだろ鬱陶しい!!
河内:あと白木さっきから誤字多いんだよ見にくい


樹季:【空のアイスカップの写真】


樹季:おいしい

大吉:それ期間限定の高い奴じゃん!いいなー

河内:おい スプーン捨てろよ

樹季:えー

河内:えーじゃねえよ 本当気持ち悪いなお前

大吉:白木、まだ桶川さんいるの?ラインしてて大丈夫?

樹季:通知音切ってるから大丈夫です

大吉:いや、そうじゃなくて、携帯いじってて怒られない?すねられない?
大吉:桶川さん不機嫌になったら俺達に当たりくるからそこんとこお願い

樹季:先輩なら私の隣で寝てるよ

河内:h
河内:は!?

樹季:ごめんそう言う意味じゃない、寝転がって映画見てるの、ミスト

河内:なんで夜にそんな鬱映画見てんだよ!!!

樹季:鬱?

河内:お前原作しか読んでないな 映画だと結末エグいぞ

大吉:恋愛映画とか見とけばいいのに・・・

樹季:そんなんあんまり借りない
樹季:みんなどういう恋愛映画みてるの

大吉:DVD?

河内:話持たねえなら長いやつ借りとけ どうせ桶川さんと居たら内容なんて頭に入らないだろお前

樹季:長いのってどんなの?

河内:手に持ってる携帯で自分で調べろ

大吉:これは?【恋愛映画のまとめサイトのリンク】

樹季:二番目の知ってる、小説は読んだ

河内:やめとけ これは俳優で人気取ってるだけで内容は全くの駄作だ 見るなら一人で見ろ

河内:長さでいうなら一番下のが長めだからそれにしとけ
河内:内容重視なら一番上のと九番目がそこそこ評価できる ただ確か九番目はDVD化してない
河内:まあ俺も詳しくないけど

樹季:思いっきり映画鑑賞しつくした人のアドバイスでしたけど

大吉:河内休みに恋愛映画見漁ってるじゃん?好きなの?

河内:好きなわけじゃねえよ

樹季:きっちり教えておいt


大吉:白木?
大吉:既読消えたな

河内:桶川さんキレたんじゃねえの






***





ぼす、という音は私の携帯がベッドに投げられた音だ。操作主を失った携帯は真っ黒な画面を天井に向けて、空しく沈黙している。

「……」

寝転がった先輩を見下ろせば、不満げな色を浮かべた視線と目が合った。

「何やってんだ」

曖昧に笑って誤魔化すと、先輩は寝転がったまま手を伸ばして、私の頬を摘まんだ。ふに、とか可愛いもんじゃない、ギリギリと、先輩にしたら随分手加減しているんだろうけど、贔屓目にいっても千切れそうな強さで頬を抓ってくる。


「ったたたたたたたたた!!!」

「……今じゃなくていいだろ」


先に沈黙に耐えられなくて私の部屋のDVDを漁り始めたのは先輩なのに。自分が私を放置したことはノーカウントらしい。

「暴君」

やっと離された頬を摩りながらそう言うと、先輩は鼻で笑った。


「いったぁ……これ青痣になってません?お嫁に行けなくなったらどうするんですか」
立ち上がり鏡台を覗き込むと、先輩も身を起こし、私の後ろに立ったようだった。
鏡越しだというのに、なぜかいつもより眼光が鋭く見えた。
が、私は目を逸らさなかった。

鏡を向いたままの私のすぐ後ろに、先輩が近付いてきた。

先輩も私から目を逸らさない。

よく見ると、先輩の耳の端が、いつもより赤くなっていた。


「……どうするんだ」


ぼそりと、いつもより低い声で先輩は言う。

「どう、って?」
「嫁の貰い手がなくなったら。お前はどうするんだ」
「……っ」


この人は意外とずるい。いつも、自分から心の内を吐き出す事はするりと避けて、こちらに言わせようとするのだ。

照れやプライドがそうさせていることは知っているけど、私ばっかり頑張って口にして、なんだかずるいじゃないか。


「……先輩はどうしてほしいですか?」


だから、今日は逆に聞いてみた。

私は今までに充分心をさらけ出してきたと思う。少しくらい見返りを求めてみても罰は当たらないのではないか。


案の定、自分から本心を口にする事に慣れてない先輩は、分かりやすく狼狽えて、赤かった耳を更に真っ赤にしている。

私だって、必死に無表情を取り繕ってはいるけれど、心臓が耳にあるのかというほどうるさい。ゆっくりと振り向けば、直に目を合わせる事に耐えられなかったのか、先輩が目を泳がせている。押しに強いときと弱いときの差が激しいことにツッコミを入れるのは無粋なので深くは言わないけど、先輩はいつもギャップが激しい。

私が二の足を踏んでいるときはやりすぎというくらいグイグイ引っ張ってくれるのに、こうやって私が頑張って一歩進むと今度は先輩が後ずさるのだ。
とはいえ、いつもは先輩の子分さんや私の部活のメンバーなんかに囲まれていて、そう意識する事もないのだけど。河内がよく「じれってえな!!」と普段の猫かぶりキャラも投げ捨てて叫んでいるので、まあ、つまり、相当進展が見えないんだろう。端から見て分かるほどに。


というか河内は最初は私に、先輩に近付くなと言っておいて、最近は全く態度が変わっているのはなぜなんだろうか。先輩のすることに右に倣えの人だから、先輩の意思を尊重することにしたのか、単に邪魔が面倒になったか。……ないとは思うけど、少しは私のことを友人と認めてくれたのか。




「おい」




ご、と額に固い物が当たる。さっきよりも鋭くなった先輩の瞳がすぐ、本当にすぐ目の前にあることに気付いて、頭突きをされたのだと気付いた。いや、額はくっつけられたままだから、本人としては頭突きではなく戯れのつもりなのかもしれない。痛いけど。



「なに考えてる」

「え、と」

「お前な、目の前に俺が居るのにどっか飛んでくのやめろよ」




だから、最初に目を逸らしたのは自分じゃないか。


むっとした表情が分かったのか、先輩が強く額を押しつけてきた。


「痛い痛い痛い!!」
身を引こうとするのに、いつの間にか、先輩の掌が背に当てられていて逃げられない。ごりごりと頭蓋が擦り合わさる痛みに涙が出てきた。戯れを超えた仕打ちに、文句を言おうと口を開こうとした。


「おい、聞け」


本当に不機嫌そうな声で遮られて、私は胡乱な顔で先輩を見やった。


「嫁の貰い手が無くなったらって話だったな。上等だ、答えをやる」


背に添えられていた先輩の手が、私の後頭部に移動してきた。


私は悟る。



あ、押してくる時の先輩だ。



さっき食べたベリーアイスの香りが漂った。





***





樹季:あああああああああああああああああああああ!!!!

大吉:あ、お帰り

河内:うるせえ

樹季:ごとうくんかわうちくんうちきて!!いますぐうちきて!!おねがい!!

河内:断る

大吉:遠慮しとく

河内:馬に蹴られたくない

大吉:桶川さんに殴られたくない

大吉:なになに?白木がパニクってるってことはちょっと進展した?なにがあった?

樹季:恥ずかしくていえない!!
樹季:間がもたない!!お願いうちきて!!

河内:お前なあ 間が持たないからって携帯弄るのやめろよ 桶川さんに失礼だろ

樹季:今トイレににげこんでる
樹季:すごくドア叩かれてる

河内:馬鹿かよ

大吉:それは怒る
大吉:ていうかなにしたんだ桶川さん・・・

河内:やめろ 想像したくない
河内:どっちにしろ俺らは巻き込まれるのは御免だからな 一人で解決しろ

大吉:明日の桶川さん機嫌いいのと悪いのどっちだろ

河内:悪いに一票

大吉:いいに一票

河内:後藤がいい方に賭けたらそっちに確定するだろ
河内:ほら白木の既読なくなった

大吉:トイレのドア大丈夫かな?

河内:あーあー勝手にやってろノロケ夫婦!















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あとがき。

ミストは、マジで、鬱映画。
あぁ、おぅ、あそこでああしておけば、あぁあ……ってなる。
精神が鋼でできてる人にだけお勧めします。

番長もそんな鬱耐性なさそうだから、途中で夢主に絡み始めたのは、映画の内容に耐えきれなくなったからだと思われる。

私にしてはいちゃこいてる内容のお話だったけど、描写してないだけで夢主の部屋にはTVから悲鳴とかうめき声とか流れてたはず。



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