文芸道
□生徒会とメイド達
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私は友達が少ない。
なにかのタイトルのようだが、悲しきことに、事実である。
私の性格が親譲りでドライなことが一番の原因だろうが、第二の原因は部活で忙しく交友関係の時間が碌に取れないことだ。
決して私の性格が悪いからではない。と、信じたい。
証拠に、友達がいない代わりに知り合いは多い。
携帯のアドレス登録件数は親戚関係を除いても400件越えだ。
その広く浅い人脈が、今回の作戦には必要らしい。
先輩との事がちくちくと心の隅に引っ掛かるが、やることをやらないと可愛い後輩に迷惑が掛かってしまう。
私の世話を焼いたせいで寮に居辛くなってしまうなんて綾部が不憫だ。
潔く、というほどすっぱりと諦めきれてはいないが、取り合えず今は仕方ないから、と自分に言い聞かせて、高坂の指示通り自分の携帯を開き、アドレス帳を呼び出した。
携帯に登録してある、一年一組と一年二組の、風紀部を除いた知り合いに一人一人メールを送る。
一組には、執事服を安く仕入れられる通販サイト情報。
二組には、手芸部ならメイド服・ウェイトレス服を無償で作ってくれるという情報。
他、「執事喫茶って最近流行ってるよねー」だとか、「どうせやるなら男がメイド服着てウケ狙った方がいいよ」と煽って、とにかく徹底的に一組と二組の意見を割れさせる。
言っておくが、メールの内容は全部高坂の指示だ。
高坂の作戦はこうだ。
合同で出しものをする一組二組の間で諍いを起こし、風紀部の目をそちらに向けさせる。
――その間に、根回ししていた不良の乱闘を起こし、警察沙汰にする。