文芸道
□スノウの正体
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私の在籍している二年四組はどちらかというと不良率が多い気がする。
少なくとも、Tシャツとジーンズで登校して、授業を受けても周りから浮かない程度には制服率が少ない。
生徒の一人や二人、私服で登校をしたところで今更注意されることもない。
ないのだが。
「白木」
目の前に立っている佐伯先生は、怒るべきか、笑うべきか迷っているような目で私を見た。
「俺はな、他人のセンスにいちいちケチをつける趣味はないが……その頭はないと思うぞ」
現在二限目、数学の授業が始まった時間。
周りのクラスメイトは無言。
かすかに聞こえる忍び笑い。
私の頭の上にはハト。
誰もが空気を読んで黙っていてくれた事実を、あえて指摘してきた先生は、ドライアイスのような冷気を纏った視線を私に向けた。