文芸道

□発見・3
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意味合いは「漢」でも普通脳内で変換されるのは「男」の方だ。





「おと、え、男!?ゲームセンターで一緒だった人ですよ!?」


女子の制服着てなかったか!?



無断入居させて貰っているので、極力大きな声で話すのは控えていた樹季だったが、この時ばかりは我慢できなかった。




「一見そうは見えねえがな。あいつは漢の中の漢と呼ぶに相応しいと思ってる」

そう答えた桶川の表情は、興奮のためか少し上気していた。

しかしその瞳は、惚気話をするというより、尊敬の師を語る者のそれで。





「あっぶねえ彼女役で書き進めるところだった」

すぐさま樹季は、作成していた小説の一部を修正することを決意する。



「彼女役?」

こっちの話なのでお気になさらず。あー、部に提出する前で良かった……」





桶川との出会いがきっかけになって作成し始めた小説は、連載という形をとって、文芸部が二週間に一回発行している文芸冊子(プリントをホッチキスで止めただけのものだが)に掲載している。割と好評だ。




「ていうか、そりゃあ彼女とか言ったら怒りますよね。失礼しました」




「おう」


双方落ち着きを取り戻し、桶川がリモコンに電池を入れ、特典映像を流し始めたことによって、騒々しかった部屋はもとの空気に戻った。








突然の災害に見舞われてすぐの一日は、緑ヶ丘学園の番長の新たな一面を発見した、という点では収穫のある一日だった。



そして、何か大きな誤解が生まれたままであることに気付かないまま、その一日は終わる。









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あとがき。

1ページの文章量増やした方がいいのかな。
パケホじゃないお嬢様方にとって、重いのとページ量多いのどっちが得なんだろう。




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