文芸道
□風紀部のイケメンさん
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呼び出されたのが二年四組の教室という時点で嫌な予感はしてた。してたともさ。
でも、呼び出した相手が後藤だったから油断してた。
「似合う似合う」
ぱちぱちと手を叩いて感想を言ってくれる後藤には、からかう気持ちなどないのだろう。
只今私が身に纏っているフリル満載のウェイトレス服(+猫耳)に、私の中にある何かがブチ切れそうなことなど知る由もないに違いない。ちなみに色はネイビー。暖色でなかったのがせめてもの救いだ。
「全く、級長に迷惑かけんなよなー」
公開処刑に耐えられず顔を俯かせていた私の正面から、気の抜けた声が響き渡る。
私はそこでハッと正気に戻り、教室の端から私の目の前にまで移動していた後藤の顔を見る。
「級長、お前が連絡に応じてくれないって困ってたんだぞ」
どうやら後藤は私の衣装合わせのことで悩んでいた級長を見かねて、私に連絡してきたらしい。
まさか後藤から衣装合わせの話が出てくると思ってなかった私はまぬけにも、のこのこ教室に現れたという訳だ。