始まりと始まりの関係
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ぐずぐずと自分の腕に顔をうずめていた藍がぴたりと息を止めた。
風間は肩にかけていた鞄を降ろすと、中から缶ジュースを取り出した。
「言っとくけどあなたからの飲み物は受け取りませんからね、っつーかなんですそれおしるこドリンクじゃないですかふざけんな、日野さんにあげてくださいそれは」
痛い程の怒気が藍からほとばしる。それは刺すように鋭く、風間の全身に向かってきた。
「つれないなあ」
風間は缶を机の端に置いて、藍の頭から手を離した。
「かえろ」
「……帰りたくないんですよねー」
元の世界の家を思い出すから。
「じゃあ何、僕んちにでも泊まる?」
すぐ否定の言葉が返ってくるかと思っていたら、藍が悩むように黙り込んだので風間の方が焦ってしまった。
「ちょ、ちょっと、冗談なんだけど」
「なんだ」
なんでもないように藍がゆっくり身を起こした。
全く、突き放したかと思ったら不意に距離を縮めてくるから、妙に焦る。
「でも」
藍が言った。
「誰かのとこに泊まるってのはいい考え」