始まりと始まりの関係

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「あーあ、坂上は真面目だが消極的だし、倉田は積極性はあるが突飛な行動をしでかすし、土生は頭は悪くないのに不真面目だし。先が思いやられるよ」
どこからどう見ても殺人鬼を率いているようには思えない部長様に、私も新堂さんもツッコミを入れたくてしょうがなかったのだが――あらゆるツッコミが放たれるよりも先に、背の高い男が部室の戸をバン、と開ける。


「夏休みの話してた!?」


珍しく必死の形相で部室に飛び込んできたのは風間さんだった。



「ノックしてくださいよ風間さん」

「H組もう課外終わったのか風間」

「丁度良かったこの計画表書いてくれ風間」

「誰かひとりくらい質問に答えてくれたまえよ!」

風間さんは、ひったくるように計画表のプリントを受け取ると、きちきちと丁寧に畳んでポケットに入れた。几帳面なのか雑なのか分からない。

「土生さん!」

「ハイ」

「夏休みの予定は!?」

「実家帰ります」

「実は僕、夏休みはルーマニアに旅行に行く予定なんだよね」

「そうですか」

「……『一緒に行かない?』って言ってるんだけど」

「実家帰るって言いましたよね?」

風間さんが無言でばんっと机を叩く。癇癪持ちの親戚の子思い出した。


「クラブの時は帰って来いよ」と日野さん。

「はあい」

「君は!貴重な高校一年の夏を実家とクラブに費やす気かい!?」

風間さんは私の側にやって来るとその場にそっとしゃがみ込む。

自分が座れるスペースがある事を確認すると床に目を落としたままその場で胡坐をかく、また五百円玉探してるんですか、と。
ときめきのとの字も見せない私に、風間さんはぶすーっと不機嫌そうに唇を突き出した。



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