文芸道2

□おまけ
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裏話




 まずはご挨拶。思いの外長くなった番外編ですが、本編共々お付き合い頂きまして、有難うございます。
 閲覧者様から、「嫉妬もの、夢主が番長に本気で怒る、敵勢力に掴まる」という内容でリクエストを頂き、それを元に作ったお話です。黄山の時とは違い、悪意のある敵にして緊張感を押し出しめに書いたのですが、いかがだったでしょうか。少しでもお楽しみいただけたら幸いです。
 以下、ネタバレ全開の裏話や反省やらです。



・ゲストキャラ桜田さん

 テーマが「嫉妬」、オリジナルキャラが悪意全開という、暗くなりそうなものだったので、発端となるキャラクターは思いっきりギャグテンポで突き進んでくれる彼にしました。
 本編で登場シーン削っちゃったのでお詫びも兼ねて。
 番外編での小目標というか、「これはやっとこう」みたいな自分ルールは、「本編で登場を削っちゃった人を出そう」でした。だから冒頭で小鞠先輩が出てます。彼女も登場カットの被害者。
 そういう、贖罪のこもったメインゲストだったわけですが、桜田さんに活躍をさせようとすればするほど、トラブルメーカーになっちゃって、コレ桜田さんファンの人に怒られるんちゃうかと不安になったりもしました。でも原作を読み返したら、真冬さん監禁してるわ他校の番長に色仕掛けしてるわ、修学旅行で喧嘩のできない真冬さん相手に殴りかかってるわ、結構素でトラブルメーカーでした。問題なかった。



・メインテーマ「嫉妬」について

 本当に素敵なリクエストを頂きました……!折角なので、今回のお話では、夢主以外にもじんわり嫉妬の感情を持って貰ってます。

【番長】
 桜田さんに自分の気持ちの自覚を促されるまでは、名前の付いてなかったイライラだったものが、ようやく名前を持って「嫉妬」になりました。番長が終盤で夢主の過去の行動についてだ―――――っと文句を言ってるのは、嫉妬を自覚したからです。
 イライラの原因が分かると、原因に対して怒りの感情が膨れ上がるときありますよね。それ。

【河内】
 独占欲からくる嫉妬。どういう意味でかはともかく、河内は夢主の事を気に入ってるので、自分の仲間以外の人に夢主をかっさらわれるのは嫌なんです。風紀部も含めて嫌。
 ぶっちゃけ仲間でももやっとすることはするんですが、多少思い通りにならなくても譲歩できるくらいには成長しました。後藤と桶川さんでギリギリ我慢できるライン。
 気に入ったものは全部手元に置いておきたい人。

【後藤】
 実は彼は、既に本編で嫉妬に似た感情の整理はついてます。
 夢主を黄山から取り返す時、彼だって夢主の元に行って助けてあげたかったんです。けど、それは自分の役目じゃないと、早坂との会話の中で自分に納得させてます。後藤が本編おまけで「夢主の思いは真っ直ぐで折れないからいつか届く」ってモノローグしてますが、対として、後藤自身は自分のとある思いを折ったんですよね。それが恋かどうかはわからないけど。
 番外編での彼はもうふっきれてます。
 自分が経験したから河内の気持ちはよく分かる。

【夢主】
 他の女の子への嫉妬という、スタンダードな嫉妬です。夢主の場合、嫉妬に焦りや苛立ちが相乗されてるので一層強い感情になってます。
 本編〜番外編の間、夢主は自分にできることは全部やってるので、あとは桶川さんの答えを待つしかできなかったわけです。できることを全部やったあとだからこそ、桶川さんの答えがNOだったら、それこそなにもできない状況で、ドキドキの期間だったわけです。しかし桶川さんは煮え切らないし、新たな女の子は出て来るし……と、夢主としては焦らざるを得ない展開で。
 普段の夢主だったら嫉妬しないようなことも、いちいち目についてるのは焦りの気持ちが大きかったのかもしれません。

 ……とまあこんな風に、それぞれに微妙に違う嫉妬を胸に抱いてるお話だったわけですが。
 一貫して、「嫉妬」が醜い感情にならないように書きました。
 自分の思いに気付かせてくれるものだったり、大切なものへの思いを一層強くするものだったり、他人の思いに共感できるようにしてくれるものだったり、あるいは嫉妬自体が好意の表現になったり。
 とても重たい気持ちだから、嫉妬をする本人は辛かったり苦しかったりだろうけど、悪いものではないんですよね。



・オリキャラの赤坂生

 「夢主が敵勢力に掴まって〜」というリクエスト頂きました→「原作沿いから離れてオリジナルも面白いかも」という意見も頂いた→「あ、じゃあオリキャラで思いっきり下種い不良出そう」→日ノ岡さん誕生
 ……本編は原作沿い故、本気で性根の悪い人が出せなかったので番外編で下種を出そうと思って……書くのめっちゃ楽しかったです……悪役好き……
 日ノ岡さんのゲスキャラが定まった後、彼をどのポジションにさせるかかなり悩みました。緑ヶ丘内の桶川反乱軍、黄山の裏番長、新生用心棒部の大将……色々考えたんですが、結局学校も捏造しました。だってなんだかんだで緑ヶ丘も黄山も根はいい人たちばっかだったんだもの。浮く。ゲス岡さんが浮く。
 緑ヶ丘・黄山に倣って赤坂。灰色学ランにしたのは原作に色付きの学ラン学校あんまり出てなかったからです。いいよねカラー学ラン。そんなに設定練ってないけど、なんとなく男子校じゃないかなと思ってます。
 日ノ岡さん自身に辛い過去とか悲しい過去は一切ないです。人が苦しむ顔を見るのが好きなちょっと変わった人。


 そんなゲス岡さんですが、やっぱり読者の方に必要以上に嫌悪感は抱かせないように書きました。必要な部分はきっちりゲスく書いてるけど。
 別視点で見れば彼もひとつの物語を作ってる人だし。
 基本的に「あきいろ」は負の感情を持った人や、一般的に言われる「嫌な人」を否定しません。肯定するかって言ったらそれはそれでちょっと違うんですが。
 人と違った価値観を持っていたり、善悪の区別が人と違う、それ自体は排斥される理由にはならないと思っているので。
 故に、今後も「あきいろ」ではさりげなく倫理観がずれたキャラクターが出て来る可能性がある訳ですが。なるべく、読んでて嫌な気持ちが残らないよう、さらっと読めるように書くつもりですので今後もお付き合い頂ければ。



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