文芸道2

□おまけ
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【あとがきのような反省のような】


長らく、ほんっとに長らく読んで頂いて有難うございました。思えば一年半くらいの長編ですよえらい事ですよ。

二次創作を書いてネット上に上げるのが初めてだったので、オリキャラはあまり出張らせない、夢主の外見は徹底的に書かない、キャラ崩壊はしないと自分に言い聞かせつつのお堅い執筆だったので随分意外性の無い文になってた気もします。
でも、書いていて楽しかったです。

応援のコメントや感想を送って下さった方、ずっとお付き合いくださった皆様、本当に有難うございました。今後はその後の話だったり裏話だったりを気が済むまで短編で上げて、おしまいにしたいと思います。

以下、裏話だったり反省だったりをちょこちょこ書いていくので興味のある方だけどうぞです。



・綾部&後藤&河内

この小説を書いてる中で、一番驚いたのは後藤と河内の動かしやすさです。流れに困ったらとりあえず登場させれば勝手に動いてくれるので有難かった。桶川さんに近しいポジションに居て、尚且つ応援係とお邪魔虫、と役割がハッキリしてたのが大きいです。
沢山頑張って貰ったからでしょうか、どうしても最後の対黄山のシーンでこの二人と綾部の見せ場を持って来たかった。それぞれの成長を書きたかったんです。
綾部は中立という立場、自分の意志で道を選べるようになった、敵だから味方だからという葛藤を乗り越えた成長。
河内は兵士の役割、文化祭の時言ってた「本質は兵士」の自分に誇りを持てるようになった成長。
後藤は元々安定してますが、キングや夢主、自分がそれぞれやるべきことを分かっている、安定してるからこそ為せる指針の役。

今まで風紀部が通ってきた、文化祭編、綾部編、野々口編をまとめてハッピーエンドにできた気がする。するだけかもしれんけど満足。





・夢主の家族設定について

どっかでも書きましたが、別に夢主は家庭に問題を抱えてるわけではないです。
夢主の両親が子供に対して放任主義が過ぎる、という風に書いてますが、単に椿先生の描く家庭って、べったり幸せ家族より、子供は勝手に育つもの、親は子供に無干渉、みたいな家庭が多いなーと思ったからそれに準じただけです。世界観を借りる以上、その物語の雰囲気を壊すような人物を出したくなかったんですよね。

でもそのおかげで夢主の成長の方向性が決まりました。案外書きやすかったです。
そういや夢主のお兄さんなかなか好評でしたね。一発キャラのつもりだったんですが。
 また短編で出したい。





・本作の原作沿い要素
 時間軸がGWを過ぎた五巻からという中途半端な始まりになりました。文化祭編を早く書きたかったんです。
 の割に文化祭前のお話が長いのは、夢主が綾部と番長のことで葛藤するフラグを立てておきたかったからです。文化祭編は番長サイドの人たちが成長したり、互いの関係を見直したりするお話なので、夢主もその中に入れて貰おうと思って。

 とはいっても文化祭前のお話を原作沿いにしすぎると番長と絡めない、だからといって番長の方ばかりに行っていては原作沿いじゃなくなる、そういう問題があって考えたのが「気付くか気付かないか程度に原作要素を入れる」ことでした。苦肉の策です。

 番長と夢主が会話してる裏庭で、由井とウサちゃんマンがバトルした形跡が残っていたり(軟球)、由井と夢主がお茶してるお店に真冬さんが居たりするのがそれです。原作を別視点で見た感じでしょうか。

 がっつり原作沿いが好きな人には物足りなかったろうなあ。





・カットシーン色々

 本当は文化祭準備中に夢主が綾部のクラスに行って綾部をからかってたり、監査に使う資料を貰うため、河内と夢主がタッグを組んで高坂を脅しに行ったり、舞苑が夢主を気に入って露骨にべたべたしてたりみたいなシーンがあったんですが、「流れが悪くなる」ということでざくっとカットしました。

 キャラ増えすぎて桶川さんの影が薄くなってる、ってのが中盤の悩みだったのでそれに巻き込まれた形の登場シーン削除です。あんまり夢主に桶川さん以外の人間関係で悩んでほしくなかったんです。
 綾部の件は、一応「桶川さんとどちらを優先するか」で文化祭の葛藤に出演して貰ったんですが、


高坂の扱いに悩むシーン削除→高坂が立派ないじられキャラになりました

舞苑との絡み削除→フラグはほんのり立ってるのに夢主が桶川さん一筋なので気付いて貰えない状態


 二人がかわいそうな事になりました。

 二人以上にかわいそうなのが一部の絡みどころか登場シーン全部削られた小鞠先輩や桜田さんです。一応ちょっと出てたんですよ……けどほら、二人とも桶川さんにあんまり関わりないからさ……





・ラストを野々口さんのお話にした理由

 最初は、どの時点でこの物語を終わらせるか決めてませんでした。
 下手すりゃ由井編まで続いて、番長が風紀部やめたことに怒った夢主が約束通り生徒会室に牛フンばらまきに行くかな、と思ってたんですが。

 この物語のテーマにしたかったことを考えたら野々口編で終わった方がいいかな、と。

 文芸道でやりたかった事は、「誰にも頼れなかった夢主が人を頼ることを知る」ことでした。
 結構居ると思うんですよね、一人でも大丈夫って周りに思われてて、自分でもそう思ってて、ここで人に頼ろうって判断ができない人。
 悪くはないんですが、この夢主の場合は「人に頼らない」ことに重点を置きすぎて、ちょっと無理をしてる設定で。

 だから、初期の夢主は人と一線を引いているというか、ひたすら事なかれ主義であろうとしてます。唯一桶川さんを追っかけてますが、それも初期は趣味の創作活動のためですし。

 それがいつの間にか、巻き込まれるうちに人と関わることを知って、人のために一生懸命になることを知って、自分からトラブルに突っ込んでいくようになる。
 ただの傍観者(物語の紡ぎ手)から、登場人物の一人になることが、夢主の最大の成長でした。それを表現するには、「物語」がテーマになっている野々口編が一番だと思ったので、区切り。



 どーでもいい私のこだわりなんですが、夢主視点の一人称体(地の文が「私」で進んでいく文)の時は、夢主の台詞を絶対入れないようにしてました。

 一線引いてる感を出したかったのと、途中からはグリム童話なんかでよくある「お姫様は台詞なし」の文に準じさせたかったので。

 そのお約束を、最後の、桶川さんとの会話の所だけ破ってます。一線引くのをやめて、夢主が完全に物語の登場人物になったこと、夢主のポジションは王子様を待つお姫様でなく、自分でキングを追いかけるお姫様以外の誰か、ということの証でした。


 うん、すっげー細かいこだわりだけど。





 最後に。
 初めて長編小説を書いて、まともに完結できたのは閲覧してくださったみなさまのお陰です。改めまして、長い間お付き合いありがとうございました。
 皆様の学生生活や日常生活も、俺Tのように楽しい日々であらんことを。



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