文芸道2

□おまけ
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一方廊下。



樹季の鞄を持って空き部屋の入り口の側に立つ後藤が、珍しくげんなりとした声を上げた。


「なんなんだろーな、喧嘩してるの聞いてるだけなのにこの見せつけてんじゃねーよ感」

「今更だ」


桶川の鞄を持って後藤の横に立っていた河内は、部屋の中から漏れてくる二人の声にしらっとした目をして、桶川の鞄を廊下に置いた。


「もう放って帰るぞ。付き合ってたらこっちの脳みそまで溶けそうだ」


桶川の鞄の横に、樹季の鞄を置いて、後藤も河内に続いて部屋から離れる。


「いつくっつくんだろうな、じれったい」


声の方に意識を向けると、河内は呆れのようなものを表情に浮かべていた。



一度は裏切って、一度は二人の邪魔をした河内も……ようやく色んな心の整理がついたんだろう。


素直な感情を口にするまで、随分と時間がかかったけれど。



――やっぱり、やっぱり白木はすごいなあ。




きっとこの世界は色んな奴の感情が複雑に絡まり合って、色んな感情同士でぶつかって、曲がって、時には折れてを繰り返すようにできている。


その中でも、白木が桶川さんを見てる時の感情は真っ直ぐで、折れもしなくて。




「きっとすぐだよ」





そんな思いは、いつしかちゃんと届くんだ。




二人の関係に名前がつくのは、もう少し後の話。





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