文芸道2

□きみをとりまく人々たちは
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「……ネカフェの音楽掛かってやがった……」


ぼそっと呟き、俺は乱暴に携帯を閉じた。

黄山に捕まってどんなひどい扱いを受けているのかと思えば。



近くの店で一服させて貰っているらしい。

心配して損した。
いや俺でなく後藤と桶川さんが。


あいつが俺達に害がないというならそれは本当なのだろう。桶川さん絡みだったらあいつはもっと焦る。

大方、黄山の不良が絡んできた時相手の気に障るかどうかしたんだろう。そこからなにがどうなってネットカフェに行く流れになったのかは知らないが。
ちらりと教室の中の桶川さんを見る。もう一触即発のオーラは消えているが、何かを考え込むようにひとつの机の方に視線を送っている。その姿を腑抜けとは思わない。どっちかというと振り回されているのは白木の方なだけ、俺にも受け入れる余裕があった。

いつ連絡が来てもいいよう、一応携帯の充電を確認して、ポケットに入れた。少しだけ気にしている分、絆されてはいるんだろうということには気付かない振りをした。





***





「正座ぁっ!!」
ネットカフェのソファの上で姿勢を正すと、黄山の彼(清水さんというらしい)は顔を真っ赤にしてびしいっと私の携帯に指を突きつけた。
「なんで出た!なんで出た!!出るなって言ったろ!しかも何黄山ってバラしてるんだよ今の誰!?桶川!?」

説教したいのか問いただしたいのか分からずだた黙って受け流した。

やがて、ぜえぜえと清水さんは落ち着くように胸を叩き、私の向かいのソファに座った。着信履歴の河内の名を見せると、安心したように息を吐く。そこまで桶川先輩が怖いか。


「頼むから大人しくしててくれよ、うちの番長怖いんだから」


清水さんはほとほと困ったようにそう言う。私は昨日会話した限りでは野上さんを怖いと思わなかったので、あまり同意できなかった。



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