文芸道2
□今年も変わらぬ修羅場です
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ああ、今年も始まるんですね、とうっすらと笑みを浮かべてしまいました。
私たち文芸部は狭い部室の中集まって頷き合った――生徒会の『監査』の時期の、恒例の空気だ。なぜならば、この学校の『監査』はとは名ばかり、『部活潰し』という異名を持つ部活動生にとって危機的なイベントであるからだ。
今年の『監査』は女性だ、と前情報は高坂から仕入れた。しかし、だからといって油断して掛かって勝てるわけではない。むしろ実力は暦年の監査係の中で一番、と聞いて、文芸部全員の顔が引き締まった。
言い添えておくが、我が文芸部は決して活動をサボっているわけでも、成果を出していないわけでもない。ただ他の、成果を上げていない他の部がこぞって監査を追いかけ、実力行使に出ているため、まともな部活でも逃げる監査を掴まえるために無駄に作戦を立てなくてはいけないのだ。