文芸道2

□協力しました
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とにかく私は、動揺のあまり玄関の前で盛大に悶えると、スライディングするようにして布団に潜りこみ、そのままの勢いで枕に向けて勢いよく頭突きするのだったが、下の階の住人には振動が伝わったのか、何かの棒で天井、ひいては私の部屋の床をどんどんと叩いていた。
うるせえんだよいつもいつも!そんな声が聞こえてきそうな階下の住人の天井付きに心の中で謝って、遂に私は布団に包まって動きを止め、ぜえぜえと自分の息を落ち着けた。



一体全体何で先輩に惚れてしまったのか分からない。
普段だったら絶対認めやしないことを簡単に認めてみせた私は、自分の頭の中から答えを探り出そうと必死に先輩と会った時のことを思いだすのだが、どう考えても答えは出るわけないのであって、案の定答えは見つからないまま、ただ静かに枕に顔を押し付ける私。記憶の中で思い出す先輩の顔も、惚れた欲目だろうか、やけにキラキラしているように感じて私は耐えられず思考をシャットダウンさせる。


なんだこれ!なんだこれ!!



そんなこんなで、ごろごろと制服のまま布団の中で何度も寝返りをうっていた私が気付いた時には、すでに朝日が昇っていて。


初めて文芸関係以外で徹夜をして痛む頭を押さえながら、翌日の登校日(文化祭の片付けが主だが)に向かうことになる私なのであった。





*****





その翌日。
嫌な人物と鉢合わせた。



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