イナイレ長編図書室
□第4話
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「――有人…!」
「…夢歌…。」
鉄塔広場のベンチで、鬼道と夢歌は再会した。
有人はあたしを見ると、フッと笑って隣りに座れと促した。
あたしも、有人の隣りにちょこんと座る。
「…久しぶりだね、有人…」
「ああ……元気だったか?」
「んー、まあまあ?」
「…そうか」
(…会話が短い…!)
自分で呼んどいたくせになんだよ…!と、心の中でつぶやいてみた。
「…夢歌っ!」
「へ?わわっ!?」
なんか突然視界が暗くなったと思ったら、有人があたしを抱きしめていた。
「ちょ、え!?ゆっ有人…っ?」
「夢歌…、夢歌…っ!」
驚くあたしをよそに、有人は抱きしめる力を強くした。
そして、力強く抱きしめる有人の体は、震えていた。
「有人…、震えてるの…?」
あたしは有人の背中に手をまわして、ぎゅっと抱きしめ返した。
「夢歌っ……本当はずっと、こうしたかった…!」
「ん、あたしもだよ、有人…!」
あたしたちはしばらく、ぎゅーっと抱きしめ合っていた。
「…夢歌、練習試合のときのこと…すまなかった…。」
抱きしめていた腕をゆるめながら、有人はそう言った。
「―謝らないでよ、もう終わったことなんだから…。いや、確かにあたしはあの試合を見て、人ってたった数年でこんなにも変わるものなのかって…思っちゃったけどさ」
「…っ、」
「でもあたしは、昔の有人を知ってるから…こんなことする人じゃないってわかってたから…。蹴っ飛ばしてでも、ホントのサッカーを思い出させたく…て……あ、れ?なんであたし…泣いてるんだろ…?」
気がついたら、あたしは何故かボロボロと涙を零していた。
「やだっ…ごめ、泣くつもりなんか、なかったのに…」
どうしよう…
涙が…
止まらない…
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