小説板

□RULE RE:VERSE
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パトリック=クロードの視点


 真っ青な空は私を見下ろし今日も世界に挨拶をする。
花鳥風月に囲まれる暮らしにももう大分なれた。
だが・・・・・・。
私の視界から、フランソワーズの顔が消えることはない。
平凡な朝。平凡な空。平凡な日々。
もう私には何もいらない。やることはやった。資産もある。
ただ黙って、この荒野を見下ろしながら生涯を終えたいのだ。
なのにあの女は私を黙らせてはくれなかった。



腐乱した草木の上に若い女が寝転がっている。
土の化粧をしているので顔ははっきりとは見えない。
それでもフランソワーズとは似ても似つかぬ顔立ちだが、
なぜか彼女と、この女が、かぶる。
森の中、ただ一人このような場所で居るのは異常だ。
殺しか、自殺か、何らかの事件を予測させる。
しかし、ここは山の中。警察を呼ぶ手立てもない。
とにかく私は、この可哀相な仏を供養してあげようと、抱えあげる。
痛んだミドルヘアーは、土壌の粘土が絡みつき、固まっている。
・・・・・・・・・・・・・・・ん?
・・・・・・まだ生温かい?
早とちりだった。まだ女は生きていたのだ。
吐息はその乾いた唇を通って感じられる。
だがこのボロボロの服はいったいどういうことか?
ここで朽ちたわけではないのか?
様々な疑問が頭を過ぎるが、
とにかくこの女を看護しなければ。何よりもそれが先決される。
・・・まったく、私はただ、何事もない余生を過ごしたいだけなのに。
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