SHORT

□奇跡の花
1ページ/10ページ

君は、同性を好きになったことがあるか…?




世の中、浮かれまくってる恋人連中に、俺はそう投げ掛けたい…―――



【奇跡の花】



世はまさに、クリスマスシーズン。
なんだかんだ言って、巷の女子共(+若干の男子)は浮かれまくっていやがります。

別に、それが悪いだなんていわねーよ…?
恋愛なんて人の自由だし、西洋被れに浸ろうと、人の勝手。
だ、が。
俺の場合には、ちょっと複雑。
この時期は、嫌いな行事ベスト3に入る。

俺、園浦いさきには、好きな奴がいる。
幼稚園の低学年から一緒で、家まで隣の、幼なじみ。
いや、別に、幼なじみ同士のカップルなんて山ほど居るだろうし、告白できなく
て悩んでる、とかではない。

問題はそれ以前。

相手はれっきとした、男、なのである。

「はぁーー……………………」
一年分くらいの長い溜め息を付いて、俺は、玄関のドアに手をかける。
うざってぇ、学校。
なにも、クリスマスイヴの前日まで登校させなくてもいいのに。
俺は、嫌々玄関のドアを開けた。
朝日が燦々と降り注いではいても、流石12月。

サムッッ………!!!!


「よぅ、いつき!おせーから、先行っちまったのかと思ったぜ」
「幹斗!!」

目の前にいたのは、俺の幼なじみ…もとい、想い人。
来栖幹斗。

一番逢いたくない奴に、逢ってしまった…

「おはよ。」
「……はよ」

目線を少し逸らして、呟く程度に言う。
別に、待ち合わせなんてした覚えなかったんだけど…なんで、いるんだよ…っ

頭を抱えたくなる衝動に駆られながら、俺は幹斗の隣を歩く。

「なんで、そんなに離れてんの」
「高校二年生にもなって、男が寄り添ってあるいてたら気持ち悪いだろうが」


はいはい。
これは、全くの嘘ね。
俺が幹斗から離れて歩く理由は一つ。

必要以上に、幹斗を意識しちまうから。

我ながら、情けない。
俺はどこかの純情可憐な女の子かっつーの。

「いさき。」
「なに」
「何怒ってんのさ」
「別に。なんも」


内心、溜め息をバリバリにつきながら、幹斗を見た。
俺は怒ってんじゃなくて、憂鬱なんですー。
これからあることを思うと、気分が沈むんですー…!


俺は、また溜め息をついた。

幸せ、逃げまくりじゃボケ!




.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ