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□血の鎖 第十五章
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ピチチチ…

「ん…」
小鳥の囀る声に誘われて、眠りから眼が覚める。
ふわふわとした感触。
久しぶりのベッド。
宿屋の固いベッドじゃなくて、なんだかとても寝心地の良い布団。
「ん…ん…」
起きたくなくて寝返りを打てば、ジャッと何かを開く音がして、とても眩しい光が差し込んできた。
「わっ…」
目を瞑っていても瞼の裏側に感じた眩しさ。
布団の中に潜って、そろそろと瞳を開く。
(あ…れ?)
鼻を擽る、優しい香り。
ふかふかと気持ちのいい、布団の感触。
「さぁ、朝ですよ」
誰か、聞き覚えのある声の主が、こちらに向かって歩み来るのが気配でわかった。
「起きて下さい、レイジ様」
バッと布団を剥がされて、見えた顔は小憎たらしい従者の顔。
「っ…」
朝日の眩しさが、眼に染みる。
「それとも、起きたくなるように、して差し上げましょうか?」
眩んだ視線の先で、彼が笑う。
覆いかぶさってきた影。
「おわっ!!」
擡げた身体を押し倒される。
「シッ…シーファッ!!」
「ふふ、朝から元気ですね」
くつくつ嫌味笑う彼の視線は、自分の下半身に向けられていた。
「るさい!男の自然現象だろうが!」
「じゃぁ、自然現象じゃなく、しましょうか…?レイジ様?」
嫌味っぽく笑う口元に、レイジはわなわなと身体を震わせて、叫んだ。

「ルシファーッッッ!!」


従者の、名前を…――――








+++ 血の鎖 第十五章 +++

 ― 第一幕 古傷 ―








「全く、お前って奴はッ」
「冗談じゃないですか。レイジ様」
「強烈な冗談をどうもありがとう」
むっすりとした表情で、レイジは朝食に向かうために服を着替えていた。
昨日の内に何点か、今のレイジの身長に見合う服を仕立て屋が用意してくれたらしい。
いつも着る服とは雲泥の差の、高級な布地が使われている。
「アイドは」
「…彼でしたら、まだお部屋にいらっしゃると思いますが?」
「じゃぁ、アイドを迎えに行く」
「レイジ様、迎えでしたら他の者に行かせます」
ルシファーは眉間に皺を寄せて、深い溜め息をつく。
出来るだけ、あの少年に関わって欲しくない。
その意図が丸判りなのに、隠そうともしない所が彼らしいと言えば彼らしい。
「嫌。お前の言い分聞いて、アイドと部屋分けたんだ。もう、訊かないからな」
ツン、とそっぽを向く主に、ルシファーは苦笑を漏らす。
こういうところは、ちっとも成長していない。
「大きくなったのは身体だけですね」
「うるさいな」
「身体の成長具合も、見てみたいものです」
「…お前、そういう冗談やめろ」
うんざりだと言わんばかりに顔を歪めて、レイジはルシファーを振り返った。
「古傷が痛みますか?」
「知ってて言うな」
ルシファーは意地悪く笑うと、着替え途中のレイジに後ろから抱きつく。
「わっ、おいッ」
「一度くらい、試してみませんか?レイジ様」
するすると、伸びてくる指先。
「こらっ、シーファッ!冗談も休み休み…っ」
「冗談じゃなくて、割と私は本気ですよ?」
コリ、と摘まれた乳首。
「ッ…」
引き締まった身体が震える。
両の手の指で巧みに弄られて、レイジの身体が反応を来たす。
「ほら、もう起ってる」
ぽっちりと起ち上がった乳首に、ルシファーは嬉しそうに笑った。
「敏感な所は変わりませんね。」
笑いながら首筋にキスを落とし、そのまま指先を腹に這わせた。
「やめッ…」
「熱くなってますよ?」
「だからっ!やめっ…!!」
ぎゅっと、掴まれた男根。
「ッぅ!」
流石に、昔身体を合わせていただけの事はあって、何処に自分の性感帯があるのかよく覚えている。
(く、そ…っ)
服の上から擦られているだけなのに、感じる。
身体が熱くなっていく。
それが判った。
「ちょ…ッ、マジ…やめろッ…シーファっ」
「このまま、止める方が辛いのでは?一度出してしまいましょう、レイジ様」
「ぅわっ!」
後ろから掻き抱かれて、折角履いたズボンを下げられてしまった。
露わになったペニスを上下に扱かれる。
「んっ…く、ぅ…ッ」
「やはり、成長してますね。男らしくなられて…」
「はッ…ぁ、やめ…ッく」
乾いた音は、やがて淫猥な音に変わって行き、硬度も増して行く。
「ふ、ぅ…く」
「レイジ様」
耳元で囁かれて、ぞくんと走った電流のような感触。
(や、ば…ッ)
抵抗しようにも、昔から体格ではルシファーには敵わないレイジ。
勿論力の面でも、負けっぱなし。
12歳の年の差はやっぱり埋められないらしい。
「くっ…馬鹿ッ、本気で…やめっ」
「いいですよ、レイジ様がイかれたら、止めて差し上げます」
ぐちゅ、ぐちぃ、ぬちゅ
卑猥な音が、朝の爽やかな日差しが差し込む部屋の中に響き渡る。
「んっ…く、ぅ…あッ」
ビクン、と背筋に走る快楽。
押し寄せてくる、射精感に、レイジは身を捩った。
「もっ…離、…っせ」
「大丈夫です。このまま、どうぞ…?」
促す彼の手つきは更に早くなって行って、レイジはその動きに身を委ねた。







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