SHORT

□奇跡の花
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幹斗は、顔が良い。
性格も申し分ないくらい、良いし、優しいところが、長所。
常に成績優秀で、スポーツ万能。
ムカつく位に、なんでも出来やがる。

そんな幹斗を、女共が放っておくはずがない。

高校に入るなり、告白の量も増えた。


元々、よくモテた幹斗だったから、そりゃもう凄い勢いで。
一番凄かったのは、誰だったかな…


確か、県跨いで来た女子がいたような。
正直、どんだけやねん!って、ツッコミたかったね。


でも。

よく、判る。
幹斗の、魅力。


「…って…」

そんなことを考えて、約束の校門前に来たら…


「なんで、幹斗がいるんだよ…!」
「いさき、俺がいちゃまずいのかよ…?」
「……べ、つに…」

ふっ、と目線を逸らせば、要と一緒にいた莉子と目があった。

「園浦、今日はよろしく」
「あ、莉子…こちらこそ」

莉子は、能登之宮 莉子といって女の子みたいな名前だけどちゃんとした男の子。
要の親友。


でも、意外だ。
莉子はこんなカラオケとか興味ないと思ってた。


…と、言うか。

今はそれ所じゃない、か。

折角、気分を入れ替えようと思っていたのに。
幹斗が居たんじゃ意味がない…


まぁ、要は俺の気持ち知らないから、仕方ないんだけど…


息抜きに、ならないよ…
これじゃ…


幹斗の隣は、心臓に悪いから。
「要、俺…やっぱり…」


帰る、と言おうとした俺の手を幹斗が引っ張った。


「………ぇ?」
「いさき」

なに…
幹斗…触って………


「…ッッ!!さ、さわんなっ…!!!」

「…い、さ…き」

言った後、
しまった…と思った。


幹斗の顔が、強張ったのが見える。

「いさき…?どうしたんだよ」
「…ぁ、いや………」

要が俺の大声に気がつき、声を掛けて来た。
幹斗から視線を逸らしてみても、幹斗の視線が背中に突き刺さる。


あんなに、
態度に出すつもりじゃなかったのに…

明らかに、変に思われた…
どうしよう…



目が、合わせられない。






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