計算づくvs無自覚

□重症かも、
2ページ/3ページ


何だか息苦しい……




「お…でら、小野寺!」
「あ、ここ……どこ」


気付いたら身体がふわっと浮いて、目の前には高野さんの顔。


「羽鳥が重症って言うから来てみれば…」
「高野さん…?」


ドサッ、


怒ってるのかと思うくらい乱暴だけど、高野さんはベッドに下ろしてくれて、布団までかけてくれた。


「何で冷蔵庫の前で倒れてんの」
「え、と…確か氷、取ろうとして…」



まだダルくて、高野さんが勝手に入って来た事とか、抱っこした事とか、一切突っ込む気力なくて。

まだ、頭が痛い。




「熱、あんの」
「わかんない、です…」
「はぁ?!…ったく、じっとしとけよ」
「わっ…」


手を当てれば良い事なのに、高野さんが、自分の額を俺の額に当てるから。
下がったかもと思った熱が、また上がった気がして。



「そんなに高くないな」
「は、はい…」
「心配したんだぞ、律…」
「っ…」


ズルい。
急に声色を変えて、そんなに優しい目で俺を見るなんて。


ドキドキしてるとバレたくなくて、自分でも認めたくなくて、
思わず高野さんに背中を向けるように寝返りを打つ。



「寝とけ」
「はぃ………」


でも、その優しい声が降ってくるから、大きな手が頭を撫でてくれるから、



俺は眠れたのかもしれない。






.
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ