実は寂しがりや

□俺たちってもしかして。
3ページ/7ページ

「ごめんなさい」

ーダン。
机に叩きつけた医学書が重苦しい音をたてる。

今すぐ本を取り上げて襲ってしまいたい。
ヒロさんの心の中が、俺でいっぱいになれば良い。
でも、我儘って言っちゃいけないんだよな…困らせちゃうから。

狂おしいまでの独占欲と、孤児院気質の葛藤はいつまで経っても決着がつかなくて。


…選ぶ選択肢は幼い頃と同じ。
携帯も財布も持たずに玄関のドアを押した。


変わらないんだな…。
俺が黙って出て行くくらいじゃ、誰も引き止めに来ない。

それとも、夜中まで帰らなかったら、ヒロさんも馬鹿野郎って殴って、それから抱きしめてくれるのだろうか。


いっそ何も考えられないくらいに働いてしまおうかとも思う。
でも今、病院の子供達の前でいつも通りに振舞う自信がない。




ダメだ俺、かなり疲れてる。

.
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ