新婚みたいな

□不釣り合いだなんて言わせない
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「うー……」

缶ビールを一気飲みしてしまった。
流石に缶を持って酔っている所はひよには見せられない、と缶を洗って伏せたが、その後は何をする気力もない。

机に突っ伏すと、酔っているせいかくだらない思考が頭を支配し始めた。


2人で墓に手を合わせる姿が目に浮かぶ。
やっぱり健気に母を思い続けるか、後妻でも取る方があの2人には合っている。
ここは俺のいて良い場所じゃない。
何を失恋引っさげて甘えてんだか。

気付いたら広告の裏に書き殴っていた。
書き終わったら鍵を置いてさっさと帰ろう。


(今まで悪かった。もう来ないつもりだ。やっぱ桐嶋さんとは……)


--*--*--*--*--

「……わ、…こざわ、おい横澤!」
「…あ?」

何時の間にか寝てたみたいで、桐嶋さんに揺さぶられ、危うく椅子から落ちそうになってようやく起きた。

「あぁ…ひよは?」
「寝かせた。これは何のつもりだ?」


起き上がると、殴り書きの紙を持ってこの上なく不機嫌な顔の桐嶋さんに詰め寄られる。
リビングの蛍光灯までもがやけに白々しく感じられて、どうにも良い気分ではない。


「それは…酔って書いたやつで…」
「……」
「墓参りってお前の部下に聞いて…何かグルグルし始めてだな……」


ボソボソ言い訳がましい事を言ってみたが、桐嶋さんの眉間の皺は深くなるばかりで。


「この後何て書くつもりだった」
「知らねーよ…」

逃げ道を探して目を逸らした俺に、容赦なく声が降ってくる。



釣り合わないとか
言わせねーから



「……は?」

それはあまりに物静かで、逆に呆然としてしまうような声で。



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