お題

□無自覚という名の罪
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「横澤、」
「…何だよ」


日和が寝静まった後のビールタイムの更に後。
酔っ払うまではいかないものの、かなり上機嫌になった桐嶋が、自分の座るソファの隣を叩いて、横澤にも座るよう催促した。


「何で俺が」
「お前だから。グチャグチャ言うな」
「…ったく」


横澤は渋々座ったように見えたが、満更でもないのは桐嶋も本人も分かっている。
桐嶋が良い気になって身を寄せると、横澤はあからさまに眉根にシワを寄せた。


「アンタ、飲み過ぎじゃねーのか」
「気はしっかりしてるつもりだけど」


あーそうですか、
突き放すような事を言うくせに、
思いっきり顔を背けるくせに、
横澤は桐嶋に寄りかからせておいて動こうとはしなかった。

その態度に堪らなくなった桐嶋が頬に手を添えて無理矢理自分の方を向かせる。


「なー、横澤」
「な、ん……」

一度は驚いたように目を見開いた横澤が、暫くして覚悟を決めたように目を閉じる。

…と言ってもリラックスしたようなそれではない。
キツすぎる程に目を閉じ、かすかに震えてる様子に、桐嶋は次の行動を忘れて見入った。
(おいおい、これが暴れグマってか?)


「…おい、何なんだよ」
「あ、いや、今のはお前が可愛いから悪い」
「はぁ?もう良い、離せ」


そんな事言ったって
最大の罪は、自覚がない事。


コイツ、本当に可愛い。

「怒ってねーでこっち向けって」
「……」
「キスして欲しいのはよく分かったから」
「んな事言って……んっ」


うん、ムキになる所も可愛い。
ちょっとは自覚してくれないと、こっちも自重できないけど…必要ねーか。



(っおい、マジやんのかよ)(勿論。それともまたこの状況で止めて良いのか?)(…好きにしろ)


end.
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