お題
□跳ね上がった心で気付いた
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「もしもしトリ?ネームできたんだけど」
担当編集であり恋人である羽鳥に電話をかける。
内容はもちろん仕事の話。
「バイク便?郵送?」
「いや、今からそっちに行く」
「マジで?んじゃ待ってる」
それだけの短い電話。
特にこの所ネームで詰まっていて、トリとは本当に電話会議で話すだけ。
「でも久々に来るって言ってるし」
机の上にネームを積み重ね、筆記用具をきっちり揃えて、ソファに座る。
「トリの奴、遅いな…」
本当にすぐ会社を出てもまだ着きそうにない時間なのに、そんな風に思ってしまう。
ドキドキするのはトリが来るから?
ネームチェックだから?
今回のネームは自信作だから?
自分でもよく分からない。
分からない…けど。
ーーガチャ。
ドアの音がして
跳ね上がった心で気付いた。
やっぱり少しでもトリの顔が見たかった、会いたかったんだな…って。
俺はトリの事、そう言う意味で好きなんだな…本当の本当の本当に。
(…つまらん)(何だって?!)
end.
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