お題
□昼食をおすそ分け
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「あ、宮城教授、おはようございます」
「おはよー」
最早自室より蔵書が多いのではないかと思われる教授室。
入るとすぐに目に飛び込んできたのは、机の上で本の背表紙に埋もれる事なく佇んでいる派手な弁当包。
「あ、それ、さっきこの間の高校生が置いて行きましたよ」
「茶髪と金髪の間みたいな?」
「ええ」
「男のわりに小柄な?」
「はい、そうですけど」
上條と会話しながら思う。
忍ちんだな。
まぁ聞くまでもなかったけど。
中身は見ずとも想像が付くが、一応念のため、と昼時を待たずして包みを開いて見る。
持ってくる気があるならメールか電話の一本よこせば良いのに…
と思っていると弁当箱の上に紙切れがあった。
(自分の弁当作りすぎた。お裾分けだし、上出来じゃないから食べなくても良い。)
何をコソコソと。
重箱じゃなくきっちり弁当箱に収まってる辺り、始めからその気だったのだろう。
思わず頬が緩むのが分かった。
昼食をおすそわけ。
…という名目の弁当の差し入れ。
生憎お世辞の上手くない俺は
(おかげで昼飯買いに行く手間が省けた)
一行だけメールを入れておいてやった。
fin.
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