お題

□昼食をおすそ分け
1ページ/1ページ

「あ、宮城教授、おはようございます」
「おはよー」


最早自室より蔵書が多いのではないかと思われる教授室。

入るとすぐに目に飛び込んできたのは、机の上で本の背表紙に埋もれる事なく佇んでいる派手な弁当包。


「あ、それ、さっきこの間の高校生が置いて行きましたよ」
「茶髪と金髪の間みたいな?」
「ええ」
「男のわりに小柄な?」
「はい、そうですけど」


上條と会話しながら思う。
忍ちんだな。
まぁ聞くまでもなかったけど。

中身は見ずとも想像が付くが、一応念のため、と昼時を待たずして包みを開いて見る。

持ってくる気があるならメールか電話の一本よこせば良いのに…
と思っていると弁当箱の上に紙切れがあった。


(自分の弁当作りすぎた。お裾分けだし、上出来じゃないから食べなくても良い。)


何をコソコソと。
重箱じゃなくきっちり弁当箱に収まってる辺り、始めからその気だったのだろう。


思わず頬が緩むのが分かった。




昼食をおすそわけ。
…という名目の弁当の差し入れ。



生憎お世辞の上手くない俺は
(おかげで昼飯買いに行く手間が省けた)

一行だけメールを入れておいてやった。



fin.
−−−−−−−−−−

ブラウザバックでお戻り下さい

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ