お題

□恋人同士に見られた日
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ホモでチビのおっさん。
引け目がない訳ではない。

でも、


「あっ、木佐さん、来てくれたんですね!」
「9時までって…分かってたし」


本屋まで恥を捨てて通ってやって、一緒に帰ると言うのはささやかな楽しみなわけで。
そんなもんまで取り上げられる気はさらさら無い。


「でね、今日来たお客さんで…」
「へぇ……」


家に帰ればそこはお互い男と言う事でやる事は決まってるから、他愛ない会話をする時間を大切にしたい。

…のに。


「おーい、雪名!」
「あっ、小林!バイト?」


が、学校の友達か?同年代だもんな。
手を繋いでないし、まさか恋人だなんて露ほどにも思わずに話しかけて来たのだろう。


「あ〜…弟さん?」
「(弟…って俺何歳だよ)」
「こう見えて年上。俺の大切な人」
「ふーん……」


何て答えようと悩むうちに雪名がどんどん話を進めていく。


「じゃーな、」
「おぅ、また明日」


流れに取り残された俺は何も言わずに雪名を待っているしかなかった。


「おい、雪名…」
「あれ、学校のクラスメイトですよ」
「そうじゃなくて!何だよ大切な人って!」
「ダメでしたか?」
「世の中には偏見持ってるやつもいるんだよ、増してや30のオジサンとか…普通あり得ねーだろ」


焦燥と気恥ずかしさに思わず饒舌になるが、雪名はニコニコするばかりで悪びれる風もない。



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