不器用な2人

□好きと言われたい
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教室の入り口まで来て、タタッと駆け込んで行った吉野にわずかに遅れた。


「なー、次授業何だっけ?」
「お、千秋。古典だろ、めんどくせー」
「ホントだよな…」

その間に吉野はクラスメイトの輪に溶け込み、気付いたら中心にいて、
やがて俺からは背中の端っこも見えなくなった。

「はぁ……」


報われない恋ではある。
それでも、

吉野の事を好きだと言えたら。
吉野に好きと言ってもらえたら。
吉野の特別になれて、いつでも側にいられたら。

…幸せすぎるだろ、それ。


でも、気持ち悪がられたら?
一時の勢いのせいで側にいられなくなったら?


だから、自分の気持ちに嘘をつく。
真剣に頼られて嬉しくて舞い上がってるだけで、俺は吉野の事を


…そう言う意味で好きなわけじゃない、と……。



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