不器用な2人
□好きと言われたい
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昼休み、ちょっと相談、と裏庭に連れていかれた事があった。
「なートリ、やっぱ大学って行っといた方が良いのかな」
「そうだな。漫画家を目指すにしても、大学卒業くらいの教養は必要だと思うが」
「やっぱそうか〜」
ともすると重苦しい雰囲気になりそうな話題をサラッと相談してくる。
頼られているのは嬉しいが、本当に真剣に考えているのだろうか。
「何かさ、トリって何でも話せるよな」
「……そうか?」
「うん、おふくろより話しやすいって」
「進路の話なんだから親とも話せ」
「分かってるって」
眉間、皺だらけだぞとケラケラと笑う吉野。
何でも話せる。
その言葉がどれだけ残酷か、お前は分かっているのか。
俺は言えないんだ。
嫌われるのは嫌だから、離れたくないから、恋人じゃなくても側にいたいから。
お前が好きだ、
…って、言えたら楽なんだろうけど。
「決めた!俺、お前と同じ大学行きたい!」
「…は?」
「そしたら安心だし。追いつける様に勉強しなきゃな〜」
またしても無自覚にストレートな言葉が飛び込んで来て、
教室戻ろうぜ、
そう立ち上がった吉野に、半分上の空でついていく事で精一杯だった。
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