不器用な2人
□恋人ってさ
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「あの…さ、」
これは長くなりそうだ。
直感で悟った俺は、論理の飛躍しやすい吉野の話に着いていくべく全神経を聞くことに集中させた。
「…きゃ、…め……?」
「…は?」
「だから!」
言いにくい事なのだろうが、吉野の声は本当にか弱くて、だから逆ギレのテンションで言ってもらってちょうどいいくらいで。
「恋人ってそんなにしょっちゅうシなきゃいけないのかよっ、」
「…嫌、なのか」
一応覚悟はしておいたのに、やはり突拍子もない発言に思考がついて行かない。
「嫌いじゃない……」
「なら、」
「でもっ!くだらねー話したり、買い物行ったり、何となくダラダラしたり…そーゆーのも同じくらい欲しいっ!」
滅多に我儘を言わない…と言うか、理に叶わない我儘しか言わないため俺がいつも押さえ込んでいたのだが、
吉野は吉野なりに思うところがあったらしい。
「俺寝てばっかで、お前働いてばっかで…同じ場所にいてもバラバラじゃん……」
「千秋…」
パジャマ姿でプルプル震えながらそんな事を言う吉野が可愛い、だなんて不謹慎だから言わないが、
それでも。
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