不器用な2人
□側にいる理由
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「あーもう、また自己完結してんのかよ」
意外とめんどくさいな、
と頭の上に乗っかったままのタオルを投げ捨てて立ち上がる。
向き合って座ったままのトリを見下ろす。
どうせこの間みたいに、朝起きたら忘れているだろうと、普段なかなか口にできない事を言ってみる。
「ちゃんと付き合ってんだろ!俺だって愛想尽かされたらどうしようとか思うし、離れたくねーし!」
「千秋…」
「俺だって、28年もじゃないけどトリの事好きなんだよっ!分かったか!」
きっと目を丸くして驚くだろう。
…と思ったが、恥ずかしくて逸らした視線をもう一度トリに戻すと、トリの目は据わったままで。
「じゃあ、千秋からキスして」
「はぁ?何でそっちに行くんだよ」
催促されて、先の予想が付くだけに恐ろしくなる。
この前酔ったトリは…かなり激しくて…遠慮がなくて…。
「…できないのか?」
「できるよっ!…目、つぶっとけ」
それでも自分の気持ちを疑われてるようでムカついて、結局は安い挑発に乗ってトリの頬に手を添える。
唇を重ねて自分から舌を絡めると、すぐにトリも応えてくる。
ヤバい、腰抜けそう……。
…ってかこれ、またあのパターンか?
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