不器用な2人
□うたた寝
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吉野が起きたら、何と言ってやればいいのだろう。
ネーム受け取ったぞ、
あんな目に遭いたくなかったら一発でやるようにしろ、
今日ばかりは俺も疲れた。
顔を合わせるとまず文句を言ってしまう気がする。
それはいけないって分かってる、分かってるんだ。
(トリといると仕事の話ばっかりなんだもんな〜)
そう愚痴られて理屈でねじ伏せる俺は何と傲慢で幼稚なのかと。
「トリ……」
か弱い声と、それに似つかわしくない結構な力で手を掴まれたので、ハッと我に返る。
「トリ…ごめん……」
「起きたのか?吉野」
「……」
どうやら寝言らしい。
だとしたら俺は何と言う事を言わせているのだろう。
目を逸らしたい現実があるのに、吉野の寝顔からは目を離せずにいた。
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