不器用な2人

□ラブレター
3ページ/4ページ


「良い子だったよ、その気があるなら俺だって応援するし」


結局、トリの家に寄り道するルートを通りながら、
俺は思ってもいない言葉を口にする。


「吉野、」
「声も可愛かったし、それこそ漫画のヒロインみたいな子じゃん」
「やめてくれ…人の気もしらないで」
「……え?」
「いや、何でもない」


やめてくれ。
そう言ったトリは照れていると言うより本気で嫌がっていて。

それにまたホッとしてる俺。


「……」
「………」


その後は気まずくて、ほとんど話さずにトリの家に着いた。


「あ、じゃあ…」


軽く手を振って帰ろうとしたら、トリに腕を掴まれた。


「吉野、俺はな…」
「うん?」


ププーっ!!

狭い道で立ち話してたもんだから、車のクラクションに遮られてしまった。


「トリ?」
「あ、いや……良いんだ」
「そか、また明日な」



トリと別れて、道を歩き出す。
曲がり角で振り返ったらトリはまだ家の前でこっちを見てて。


それが何となく嬉しくて、俺は大きく手を振ったんだ。




.
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ