不器用な2人
□ラブレター
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「良い子だったよ、その気があるなら俺だって応援するし」
結局、トリの家に寄り道するルートを通りながら、
俺は思ってもいない言葉を口にする。
「吉野、」
「声も可愛かったし、それこそ漫画のヒロインみたいな子じゃん」
「やめてくれ…人の気もしらないで」
「……え?」
「いや、何でもない」
やめてくれ。
そう言ったトリは照れていると言うより本気で嫌がっていて。
それにまたホッとしてる俺。
「……」
「………」
その後は気まずくて、ほとんど話さずにトリの家に着いた。
「あ、じゃあ…」
軽く手を振って帰ろうとしたら、トリに腕を掴まれた。
「吉野、俺はな…」
「うん?」
ププーっ!!
狭い道で立ち話してたもんだから、車のクラクションに遮られてしまった。
「トリ?」
「あ、いや……良いんだ」
「そか、また明日な」
トリと別れて、道を歩き出す。
曲がり角で振り返ったらトリはまだ家の前でこっちを見てて。
それが何となく嬉しくて、俺は大きく手を振ったんだ。
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