不器用な2人
□温もり。
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「……!」
不意にポン、と小さな手が俺の頭に乗る。
そのままゆっくりと頭を撫でられて、俺はたまらなくなった。
「千秋…」
「…うん」
お母さんの手か、毛布でも握りたい幼子のようにその手を握り込む。
優しくて、あったかくて、
何より愛おしくて。
「千秋…好きだ」
「うん、知ってる」
「俺は一生お前以外好きにならないと思う」
そして俺の傷がほぼ癒えて、今日の嫌な事が全部どうでも良くなってからこいつはやっと聞いて来るんだ。
「今日のトリ変だって。どうしたの?」
わざとか?
無意識か?
俺をそうやって包み込んで、どんどん虜にしていく。
「あぁ、もう良いんだ、大丈夫」
「ホントかよ」
「お前のおかげでな」
この温もりがいつまでも俺だけのそばにあれば良い、なんて
柄にもなく思ったりした。
end.