不器用な2人

□温もり。
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「……トリ?」


勝手にドアを開けると、何も知らない千秋の可愛らしい声がする。

それだけでも俺には十分な癒しで。




「あ…お疲れ」
「悪いな、急に」



俺が本当に疲れた顔をしていれば千秋は真っ先に
「何があったの?」
とは尋ねてくることをしない。


生来の能天気な性格だから、無意識に暗い話題を回避しているのかもしれないが、
思い出したくもないできごとを語らなくて良い事がどれだけ楽か。


「座れよ…な?」
「すまん…」


俺がソファに沈み込むと、千秋はちょこんと隣に座る。
何も聞いてこない。
ただ、近くにいるだけ。


しかし、今の俺が欲しているのはまさにそれだと言う事を、千秋は知っているのだろうか。


小さい頃からそうだった。
俺が本気で凹んでも、千秋は質問ぜめにもせず、嫌な顔もせず、いつも通りに、

ただ隣にいてくれた。





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