不器用な2人

□カッコいい人
3ページ/4ページ

勢い任せに飛び出したは良いが、何から文句言ってやろう。

「吉野!」
「お帰りトリ!早かったじゃん、夕飯何?」


何だこの態度。
俺にバレてないとでも?


「その前にあのネーム…なんだ?」
「え、えっと…」

何の事かは分かっているらしく、すぐに頬を染める。
不覚にも可愛いと思ってる自分がいる。


「か、カッコいい、から…」
「は?」
「ら、ライバルって言ったらそれなりにカッコよくなきゃダメだろ?」
「それで?」
「咄嗟にモデル、トリしか思い浮かばなくて…」


無自覚に可愛いと言うのはどうしてこうも罪深いのだろう。

だがしかし、まだ許せない。


「じゃあ何故俺はサブなんだ?」
「サブだからトリなんじゃんか!」


はずかしそうにプルプル震えながら、千秋は叫んだ。


「前にもトリをモデルにした事あったろ!」


…あぁ。
俺と女子のラブシーンなんかかけないとボツにしたやつか。


「サブなら…ラブシーンはないから…」


ほほう、俺の失恋シーンなら描けると?
いや、千秋はそこまで考えてないだろう。


とりあえず俺の存在がサブキャラ並でないと分かっただけ良しとするべきだ。

あとは千秋の可愛さに免じて許してやる。


「分かった…夕飯にするか」
「やった!」


結局の所、俺は今目の前にあるコイツの笑顔が一番大事なのだ。






.
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ