不器用な2人
□逆転っ!
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着拒されてたら立ち直れねーし、電話かけたくない。
どうしよう、明日から違う編集さん来たりして。
「トリ…」
いるのが当たり前に思えてたトリ。
いないって、こんなに不安なんだな。
「来ちゃった〜、どうしよ」
トリの家に、来ちゃった。
普段なら遠慮なく入るが、状況が状況だけに、戸惑いはある。
でも、行かなくちゃ。
「トリ…いないの?」
玄関の鍵は開けっ放し。
ぱっと見、電気はどこも消えている。
どうしよう、いなかったら。
肝試しよりもドキドキしながら寝室まで行くと…
…いた。
仕事の服のまま、突っ伏してるトリ。
「疲れてんな〜、そりゃそうか」
表紙とか、描き下ろしとか、俺の仕事が増えるって事はトリの仕事も増えるって事。
それを俺がこなせてるのは全部トリのおかげ。
と、とりあえず捨てられたわけじゃないみたいと安堵すると、
スヤスヤ眠るトリが愛しくなって来て。
「トリ、お疲れ」
掛け布団を、そっと被せてやる。
…これ、いつもと逆っぽいぞ。
よし、今日は俺がトリにしてあげる。
日頃の感謝、たまには形にしないとね。