遠慮ばっかり

□デコちゅー。
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(今日早く上がれたんだけど、バイト終わったら来る?)
(マジっすかー!行きます!)


バイト上がりの雪名から返信が来てまだ10分。
こんなに落ち着かないのは何でだろーな。

ちょっとでも長く一緒にいたい。
こんな風に誰かを思ったのは本当に本当に初めての事で、どうしたら良いか未だによくわからないのだけれど。


ーピンポーン…


「またかよ」

雪名は俺が家にいる事を知ってても、チャイムを鳴らしたがる。
曰く、玄関まで俺が出て行く事に何か意味があるらしい。
何だそれ。


「お邪魔します」
「お、お疲れ…」

はぁ…相変わらずキラキラしまくってる。
たまには疲れてオーラ半減とかしてくれないかな…なんて、ちょっと思ったり。


「…木佐さん、」
「な、何…って、あ……」


リビングに戻ろうとした俺の肩を雪名が掴んで振り返らせる。
視界に大好きな顔が映ったと思ったら、額に唇の感触がした。

「木佐さん、会いたかった」
「………」

雪名に触れられて悪い気はしないし、むしろドキドキなのだけれど、俺はこれをされる度にモヤモヤする。


「あ、分かった」
「ん、何がですか?」


何もなかったかのように上着を脱ぐ雪
名を見て、突如その理由に思い当たった。
うん、多分間違いない。


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