計算づくvs無自覚

□熱中症
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体は丈夫な方だ。
多少の熱なら仕事なんか休まない。

…なのにどうして、


意識が遠のいていく。



--*--*--*--*--*--


「……ここ、どこ」


真っ白い天井、腕から伸びたチューブ。
病室に、ひとりぼっちだ…。


ガキの頃もそうだったよな。
共働きでろくに顧みられず、熱を出しても氷と薬だけ充てがわれて放置されたっけ。

全てが灰色とはこう言う事だと、文芸のワンフレーズを理解した、捻くれた学生時代。

そうだった……。


「熱中症だそうですよ」
「小野、寺…」

突如視界の外から声が聞こえる。
首を横に向けると、小野寺は俺に背中を向けながら何やらやっていた。


「人の事はグチグチ言うくせに自分の事はできないんですか」
「………」
「6月から熱中症なんて…笑えませんよ」


その声は、心配しているにしては無愛想で、茶化している割には真剣で。

お前、仕事は。


そう聞こうと思った途端、額に氷の冷たい感触がした。




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