計算づくvs無自覚
□VDパニック!
1ページ/5ページ
…忘れていた。
そう言えば文芸にいた頃も、男性作家さん宛てへのバレンタインチョコはダンボールで編集部に届いていたことを。
バレンタイン☆パニック
「エメラルドは少女漫画だろ!?」
定時に余裕を持って行ったのに、こんなにも取り乱すなんて。
女性作家ばかりなのにこうもバレンタインが慌ただしい原因は…十中八九「乙女部」の方たちがイケメンだから。
俺を除いて。
しかし編集者のファンってどんだけコアなんだ、とツッコミつつ、
自分の机の上にもいくつか包みがあることに少しホッとする。
「あ、高野さんおはようございます」
「邪魔だから机の上片付けちゃえよー」
開口一発、挨拶もなしに…
うわっ、全国の女性の皆さん、高野さんはチョコが、邪魔だそうですよー。
…と言いたいが、確かに高野さんの机の上は俺の比じゃなく山積みで、仕事ができる状態じゃない。
「小野寺、そんなもの捨てろ」
「俺はこれしかないし、持って帰りますよ」
もったいないし、丁度紙袋も空いた所だし。
高野さんは心なしか不機嫌だけど、何も言ってこなかった。
「さぁ、仕事だ!」
.