年の差恋愛

□笑った。
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忍は今日も台所に立ってキャベツを刻んでいる。
日々ほんの少し僅かにちょっとずつ上達しているし、忍の頑張る姿ってのは意外と可愛くて、今まで手を貸した事はない。

…けど。


「痛っ…」
「どうした?」


聞こえた声と、止まった包丁の音。
もしや、と新聞を読むのをやめて首だけ振り返ると、何でもねーよ、と何かありそうな声がする。
新聞は開きっ放しで机に放り出し、台所に向かった。


「何だよ、来んな!」
「ここは俺の家だ」


有無を言わさず左手を取ると、案の定切れている中指。
なーにが何でもないだよ、強がっちゃって。


「大人しく待っとけ」
「これくらい平気だっ」
「良いから」


絆創膏を持って来て外袋を破ると、観念したのか大人しく左手を突き出してくる。
おそらくこんな傷なんか今まで付けた事がないであろう、白くて細長い指に丁寧に巻いてやる。


「なー、忍ちん」


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