実は寂しがりや
□留守番
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「ん、ぅ……」
「っは…ヒロさん」
長い長いキスから解放されて、行為へと向かう瞬間、恐れていた事態は起きた。
〜〜♪
「は、はいっ草間です。え?あ…はい、はい、すぐ行きます」
急患だろう、一度は仕事の顔になった野分も、電話を切ると途端に寂しそうな顔をする。
「すみません、ヒロさん」
「良いから行けって研修医」
俺は何ともないフリをするので精一杯だから。
構うな、行け、そんな捨て犬みたいな顔すんな…引き止めたくなる。
ただでさえ、男同士という事、つまり…家庭を作ったりだとかいう幸せを野分から奪っていることに罪悪感は禁じえない。
だからこそ夢くらい精一杯応援して、叶えてもらいたいのは本心なのだ。
「帰ったら、また…」
「分かってるよ。早く言って来い」
野分の方が申し訳なさそうな顔をする中、俺は蹴り出すような言葉だけかけて布団をかぶる。
「…いってきます」
「おぅ、」
ちょっとこの格好じゃ玄関に見送りには行けないからな。
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